「洋楽離れ」実は世界規模で進行中…!スマホ・サブスク時代が変えた音楽業界の構図

国内におけるポップスシーンの誕生はおよそ100年前。太平洋戦争中の数年間を除いて、日本のポップスは常にイギリス、アメリカの音楽…いわゆる「洋楽」の多大な影響を受けてきた。

エルヴィス・プレスリー、ザ・ビートルズ、マイケル・ジャクソン…読者のみなさんにも年代ごとに愛聴した洋楽スターがいると思うが、しかし近年の若者の間では以前ほど洋楽が聴かれる機会が減少しているようだ。先日SNS上で、この現象についてデータを交えながら的確に指摘する興味深い投稿を目にした。

「『洋楽』を『アメリカでのヒット曲』と仮定したとき、『洋楽離れ』はどこで・どれくらい進行しているのでしょうか?」と世界各国の「洋楽離れ」事情を一目瞭然にしたしたチャートを紹介するのは徒然研究室(仮称)さん。

このチャートはSpotifyが発表したデータから「2020年と2023年に米国チャートに登場した曲」との共通曲数を、国ごとに各年で算出し、その変化を可視化したもの。

日本の共通曲数は数十カ国中、下から数えて3番目であることがわかる。また各国でも洋楽離れは進んでいるのか、2020年に比べ共通曲数が増加しているのはわずかメキシコのみということだ。

たしかに近年はKーPOPや過去のJーPOPが世界的注目を浴びている。またYouTubeやTikTokなどのSNS上では、既存の音楽業界に依らない若いミュージシャンが大きな支持を集めている。もはや洋楽ヒットがただそれだけで世界を席巻する時代は、過去のものとなりつつあるのだろう。

徒然研究室さんに話を聞いた。

--このテーマに興味を持ったのは?

徒然研究室:CDがかつてほど売れなくなって、少子高齢化も進み、先行き不透明だった日本の音楽カルチャーや世界の音楽カルチャーにスマホやサブスクリプションの誕生で、従来の常識やマーケティング理論では捉えきれない、おもしろいことが起きているのではないかという感覚がありました。

「洋楽離れ」については、現象としては、そいういったテクノロジーの普及で地球の裏側の音楽がいつでも気軽の聴けるようになった時代のある種のパラドックスとして興味深く感じていました。また現象としての洋楽離れとは別に、言説としての洋楽離れも存在しているように感じていました。

ーー言説として、とは?

徒然研究室:「若者の○○離れ」のような言説もそうですが、洋楽離れにも、日本における洋楽の黄金期を通過してきた上の世代の、「本来はこうあってほしい」「そうではない日本はよくない」という想いを伴って語られる側面があるかもしれません。

実は洋楽離れは、日本だけではなく世界のあちこちいで同時多発的に起きている、ある種の必然的な出来事かもしれない。そこでそういった、人間の「こうあってほしい」という想いを一旦横において、データと機械の力を借りて、日本、そして世界で何が起きているかを視覚化してみたいと思いました。

--データをご覧になって見えてきたものは。

徒然研究室:ほぼすべての国が、ヒットチャートにおいてアメリカとの共通している曲が減少しているというはっきりしたトレンドが現れており驚きました。ラテン音楽が強いスペイン語圏や、ボリウッド映画音楽が強いインドなどはある程度想像がついていましたが、「洋楽」の「洋」に元々含まれているであろう、西洋の欧州でも現象が起きています。

そしてアジアの存在感の増大です。元々ASEANの総人口はEUを上回りますが、経済成長が進むについてれ、その影響力はさらに大きくなるかもしれません。欧米、ラテンという二つの大きな音楽文化の発信地に加えて、アジアという第三の震源が生まれつつあるのかもしれません。

◇ ◇

読者のみなさんは最近、どんな音楽を聴いているだろうか。

徒然研究室さんはこのテーマについてさらに視野を広げて紹介したnote記事「『洋楽離れ』をデータから検証する:日本だけじゃない? 変わる音楽の世界地図」を執筆している。ご興味ある方はぜひご覧になっていただきたい。

徒然研究室(仮称)関連情報

プログラミングとデータ可視化によるアプローチで文化・社会を研究するひとり研究室。

note記事「『洋楽離れ』をデータから検証する:日本だけじゃない? 変わる音楽の世界地図」

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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