ステップワゴンの中古車はお得? 『価格が安い理由』と、狙い目モデルを解説…購入時の注意点は
ホンダのステップワゴンは、ライバルのミニバンに比べて中古車価格が安い傾向があります。安さの理由や狙い目のモデル、中古で購入する場合の注意点を解説しています。
■ステップワゴンの中古車は安い?
ステップワゴンの中古車相場は、同じMクラスミニバンのヴォクシーと大きく変わりません。ミニバンはファミリーを中心に人気が高く、中古車相場も下がりにくいのが特徴です。
【ステップワゴンスパーダ】(2015年4月~2022年5月)
・先代モデルの最終価格 ※車両価格:約292万円~365万円
・2018年式相場価格 ※支払総額:約220万円~310万円
・2016年式相場価格 ※支払総額:約170万円~220万円
【ヴォクシー】(2014年1月~2022年1月)
・先代モデルの最終価格 ※車両価格:約281万円~344万円
・2018年式相場価格 ※支払総額:約220万円~310万円
・2016年式相場価格 ※支払総額:約170万円~250万円
ただし当時の新車時価格から考えると、ステップワゴンの方がヴォクシーよりわずかに割安な傾向があります。さらに、上記は人気モデルのスパーダに限った相場価格であり、標準モデルのステップワゴンはより安価です。
▽5代目後期モデルは安全性も充実
2015年~2022年に販売されていた5代目ステップワゴンは当時のライバル車より安全性能が充実しており、特に2017年以降の後期モデルは優秀です。
例えば2018年式のステップワゴンとヴォクシー/ノアを比べると、ステップワゴンは1グレードを除いて全車で歩行者検知式の自動ブレーキやサイド/カーテンエアバッグ、車線維持機能などを搭載しています。一方ヴォクシー/ノアでは、これらの多くの機能が未搭載またはオプションです。
■ステップワゴンの中古車が安い理由
ステップワゴンの中古車価格がヴォクシーなどのライバルより安い理由としては、主に以下でご紹介する3つが挙げられます。
▽理由① モデルチェンジによる価値低下
ステップワゴンは2022年5月に新型の6代目がデビュー。機能性はもちろんのこと、デザイン性も大きく向上しました。
中古車市場では、モデルチェンジがあると型落ちモデルの価値が下がり、それに伴って相場価格も下がります。そのため5代目以前のモデルで価格が下がっています。
▽理由② ライバルとの人気差
2022年にはヴォクシー/ノアとセレナもフルモデルチェンジしており、型落ちモデルの価格下落はライバルでも起こっています。
その中でもステップワゴンの中古車が安いのは、ライバルに比べて需要が小さいからです。例えば5代目はデザインの独自性があまり評価されず、人気が低迷しました。2020年~2021年の新車登録台数を見ても、ライバルに差をつけられています。
【2021年新車登録台数】
・ステップワゴン:19位(39,247台)
・ヴォクシー:9位(70,085台)
・セレナ:11位(58,780台)
【2020年新車登録台数】
・ステップワゴン:20位(34,441台)
・ヴォクシー:10位(69,517台)
・セレナ:11位(68,648台)
※参考:一般社団法人日本自動車販売協会連合会「ブランド通称名別ランキング」
https://www.jada.or.jp/pages/340/
▽理由③ もとの車両価格が安い
本記事の冒頭ではステップワゴンスパーダの価格をご紹介しましたが、当時のステップワゴン(標準モデル)の廉価グレードは約276万円から販売されていました。これは、当時のヴォクシーの廉価グレードより5万円ほど安い価格です。そのためステップワゴンの標準モデルは、中古車相場もより安価となっています。
先述の通り、5代目ステップワゴンは当時販売されていたライバルより安全性能が充実しており、コストパフォーマンスを考えてもお買い得な傾向があります。
▽【その他】車両状態による影響も
中古のステップワゴンの中には、10年落ち以上の古い車両や過走行の車両も存在します。これらの中古車価格は、当然ながら安いです。
特にステップワゴンは2009年に登場した4代目がヒットしており、中古車市場での流通量が多いです。こうした低年式車両の存在により中古車相場が下がって見えることも、「安い」と言われる原因の一つと考えられます。
■ライバルとの違いや魅力は?
ライバル車に比べると人気の低い中古のステップワゴンですが、ライバルにない魅力も多く備えています。ここでは5代目モデルについて、ライバルとの違いや魅力をご紹介します。
▽① 大きさ
【サイズ】(3ナンバーの場合)
・5代目ステップワゴン(2015年4月~2022年5月)
全長4760mm×全幅1695mm×全高1825-1855mm
・3代目ヴォクシー(2014年1月~2022年1月)
全長4710mm×全幅1735mm×全高1825-1870mm
・5代目セレナ(2016年8月~2022年11月)
全長4770mm×全幅1740mm×全高1865mm
2015年前後~2022年にかけて販売されていた主要なMクラスミニバンは、どれも5ナンバーサイズと3ナンバーサイズのモデル展開がありました。サイズに関しては、どれも大きな差はありません。ただし5代目ステップワゴンは、3ナンバーサイズでも全幅が小さいので比較的小回りが利きます。
▽② 燃費性能
【5代目ステップワゴン】(2015年4月~2022年5月)
・ガソリン車(WLTC):13.0-13.6km/L
・ハイブリッド車(WLTC):20.0km/L
【3代目ヴォクシー】(2014年1月~2022年1月)
・ガソリン車(WLTC):12.2-13.2km/L
・ハイブリッド車(WLTC):19.0km/L
【5代目セレナ】(2016年8月~2022年11月)
・ガソリン車(WLTC):11.8-13.2km/L
・ハイブリッド車(WLTC):18.0km/L
※上記燃費は最終モデルの数値
現行モデルではライバルに比べて燃費性能が劣るステップワゴンですが、5代目販売当時は一歩リードしている状況でした。
▽③ バックドアの構造
5代目ステップワゴンの特徴の一つが、「わくわくゲート」と呼ばれるバックドアです。ちょっとした荷物を載せる時にドア半分を開けられるだけでなく、このドアから人の乗り降りもできます。
もちろん大きな荷物を載せる時は、バックドア全体を上方向に開く通常の使い方も可能です。
▽④ 3列目シートの収納方法
ステップワゴンのもう一つの特徴が、3列目シートの床下収納です。ライバルが跳ね上げ式を採用する中、ステップワゴンのみ床下収納が可能で、大きな荷物も余裕を持って積むことができます。アウトドアなどにも便利でしょう。
■中古で購入する場合の狙い目モデル
ステップワゴンを中古で購入する場合、現行モデル(6代目)はまだ相場価格が高いので、5代目または4代目がおすすめです。ここでは、目的別の狙い目モデルをご紹介します。
▽王道は2017年マイナーチェンジ以降
新しさや安全性能の充実度を考えるなら、一番おすすめなのは2017年のマイナーチェンジ以降のモデルです。高年式になるほど車両価格も上がるので、できれば2018年式あたりを狙うと良いでしょう。
人気の高いステップワゴンスパーダの場合、2018年式で相場価格は約220~310万円。燃費性能を考えるとハイブリッド車がおすすすめです。走行距離が5万キロ程度ある車両なら支払総額250万円前後で購入でき、なかには230万円程度の車両もあります。
2018年式以降のステップワゴンを見てみる
▽予算200万円以下なら2016年式
予算200万円以下で購入したい場合は、5代目でもマイナーチェンジ前のモデルがおすすめです。2017年式以前となると少なくとも7年落ち以上となってしまうので、できるだけ年式の新しい2016年~2017年式を選びましょう。
5代目ステップワゴンはマイナーチェンジ前後でデザインが変わっています。またマイナーチェンジ以前はハイブリッド車の選択がなく、安全装備パッケージホンダセンシングもグレードによって装備していません。車両条件をよく確認の上、購入しましょう。
支払総額200万円以下のステップワゴンを見てみる
▽予算100万円以下なら2014年式以前
とにかく予算を抑えたい場合は、2014年式以前の4代目を検討しましょう。100万円以下で売られている車両も多数あります。
ただし4代目ともなると10年落ち以上で、安い車両は走行距離も10万キロ以上のものが多いです。部品交換や整備状況など、車両状態を徹底的に確認しましょう。
支払総額100万円以下のステップワゴンを見てみる
■ステップワゴン中古購入の注意点6つ
ここでは、ステップワゴンを中古で購入する場合に注意すべきポイント6つをご紹介します。
▽① 乗車定員に気を付ける
ステップワゴンには7人乗りと8人乗りがあります。7人乗りは2列目がキャプテンシートで、8人乗りはベンチシートです。あらかじめ「最大何人乗る予定があるか」を考えましょう。
7人乗りと8人乗りで迷うなら、セレナの中古車もおすすめです。セレナの8人乗りでは、2列目中央のシートが1列目にも移動する「スマートマルチセンターシート」が採用されています。7人以下で乗る場合に3列目へのアクセスが良好です。
▽② 相場価格を外れた車両は避ける
価格重視だからといって、相場価格から大きく外れた車両を選ぶのは控えましょう。
ステップワゴンに限った話ではありませんが、相場価格より圧倒的に安いクルマは「安いなりの理由」があります。車両価格が安い場合は、少なくともその理由を販売員に確認すると良いでしょう。
▽③ 年式と走行距離のバランスを見る
クルマは走りすぎも走らなさすぎも良くありません。「適度な走行」が、良い状態を保つポイントの一つです。故障や不具合のリスクを下げるためにも、年式と走行距離のバランスが1年あたり1万キロ前後の車両を選びましょう。
▽④ 修理歴の有無や整備状況を確認する
中古車である以上、故障や不具合のリスクは避けられません。だからこそ、購入時は修復歴の有無や車両の整備状況の確認が重要です。
修復歴のある車両は安全面のリスクが高くなりがちなので、絶対に購入を避けてください。また車両の「点検整備記録簿」がないかを確認し、オイル交換や定期点検をきちんと受けているかチェックしましょう。
▽⑤ スライドドアの性能を確認する
ミニバンの魅力の一つであるスライドドア。近年は電動ドアが当たり前になっていますが、中古では手動のスライドドアを搭載しているケースも少なくありません。
またスライドドアで心配なのが、故障です。スライドドアは通常のヒンジドアに比べて重く、特に電動式なら電気系の故障リスクがあります。スライドドアの種類とともに、不具合の有無も確認しましょう。
▽⑥ e:HEVはバッテリー状態を確認する
ハイブリッド車(e:HEV)を選ぶ場合は、バッテリー状態を確認しましょう。せっかく燃費重視で車両を購入しても、バッテリーが劣化していては充分な燃費性能を発揮できません。さらにバッテリーが寿命を迎えた場合は、高額な交換費用がかかります。
バッテリーの劣化具合は、カタログ数値に対する実燃費の状態を確認したり、お店によっては販売員にバッテリーの状態を確認してもらえたりします。
◇ ◇
安価な中古車も多く、特に5代目の後期モデルはコストパフォーマンス面でもおすすめのステップワゴン。しかしライバルにもそれぞれの魅力があります。「どの車種/車両がいいか」と迷う場合は、プロに相談しましょう。
(まいどなニュース/norico)