離婚後、養育費を支払わない男性たち その理由は…「親権が取れなかった」「子どもと会わせてくれない」
離婚後に毎月「満額の養育費」を支払っている男性は約2人に1人--そんな調査結果が、株式会社アシロ(東京都新宿区)による「養育費の支払い」に関する調査で分かりました。また、5割強の人が、離婚時に養育費の取り決めをしていないことも明らかとなりました。養育費を支払っていない、もしくは減額したのにはどのような理由があるのでしょうか。
調査は、離婚歴があり、子どもの親権を持たない全国の20~30代の男性150人を対象に、同社の運営する弁護士・法律事務所の検索サイト『ベンナビ離婚』上にて、2024年4月にインターネットで実施されました。
まず、「現在、養育費を支払っていますか」と質問したところ、「毎月支払っている」と回答した方は52.0%。一方、「過去数回のみ」(16.0%)や「一度も支払っていない」「毎月支払っているが、減額することがある」(いずれも11.3%)など、支払いの頻度が一定定ではなかったり、減額をしたりすることがある人は44.7%となりました。
「毎月支払っている」「その他」以外を答えた人に「支払っていない、もしくは減額した理由」を尋ねたところ、「親権を取りたかった(自分が養育したかった)が取れなかったため、母親側が負担すべきと思ったから」(22人)、「子どもと面会させてもらえないため、支払いたくない」(18人)といった回答が上位に並び、経済的な事情よりも元妻との食い違いや確執が原因であることがうかがえました。
続いて、「離婚時の養育費の取り決め」について尋ねたところ、「家庭裁判所を介して取り決めをした」(30.0%)、「公証人役場で公正証書を作成した」(26.7%)が上位に。これらの手段は養育費の支払いに万が一滞りがあった場合、強制執行を検討できる選択肢であり、離婚時の養育費の取り決めとして有効といいます。
一方、「話し合いで取り決めた(口約束)」(16.7%)や「(元)夫婦の間だけで書面作成した」(14.0%)など、こうした制度が活用されていない事例が目立ったほか、そもそも「取り決めをしなかった」(12.6%)と回答した人も一定数みられました。
そこで、「取り決めをしなかった」と回答した人にその理由を教えてもらったところ、「相手と関わりたくなかった」(7人)、「子どもを引き取った側が養育費を負担すると思った」(4人)などが上位を占め、親権を持たない親による養育費の支払い義務に関する認知度の低さが明らかとなりました。
そのほか、「現在取り決め中もしくはこれから取り決める予定」(4人)、「取り決めをしたかったが、交渉がまとまらなかった」(2人)といった回答もみられたことから、支払う意思はあるものの、当事者間の合意が成されておらず養育費の支払いをしていないケースがある様子がうかがえました。
養育費を「毎月支払っている」と答えた人に対して、「できれば養育費を減額したいと思いますか」と質問したところ、7割超が「できれば減額したい」(73.1%)と回答。
また、「妥当だと思う養育費の月額」を全回答者に尋ねたところ、「1万円~3万円未満」「3万円~5万円未満」(いずれも42.0%)などが8割以上を占めました。
この結果について同社は、「養育費は義務者(支払う側)と権利者(受け取る側)それぞれの収入状況や、子の年齢といった要素により、適切な金額がケースバイケースとなるため、何円が妥当となるかを一概に示すことはできません」と説明。
そのうえで、「適切な養育費については、2018年度(平成30年度)司法研究における養育費の算定書(※)を参考にする他、専門家への相談を検討すべきといえます」とコメントしています。
※:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について-裁判所
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file5/youiku-1.pdf
最後に、養育費についての「主な相談相手」を聞いたところ、「自身の家族・親族」(51人)、「弁護士などの専門家」(46人)などが上位に挙がった一方で、「相談したことがない」(37人)という回答も多く、約4人に1人が養育費について誰にも相談をしておらず、(元)夫婦だけで取り決めたり、一人で悩んだりしていることが分かりました。
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【出典】
▽ベンナビ離婚/親権を持たない男性の約5割が「養育費を満額支払っていない」と判明!