郵便局のそばに置かれた箱 生後2カ月の黒猫はFIVキャリアだった 保護から9カ月後、優しい夫婦と運命の出会い
千葉県我孫子市の東我孫子郵便局のそばに、箱が置かれていました。中には生後2カ月ほどのメスの黒猫がいました。
連絡を受けた地元の保護団体、ねこ友会のメンバーが駆けつけました。警察官も来ており、ねこ友会はその場で警察から承認を受け、すぐに保護することができました。
後につけられた名前は「ココアちゃん」。当初こそ、やつれた表情を浮かべていましたが、心ある人たちの思いを受け、元気を取り戻し、心を開いてくれるようになりました。
■ココアちゃんはFIVキャリア猫だった
動物病院で医療検査を受けたココアちゃんは、いわゆる「猫エイズ」と呼ばれるFIVキャリアであることがわかりました。
人間に感染することはなく、感染した猫が必ずFIVを発症するわけでもなく、潜伏期間が長いため発症せぬまま寿命を全うする猫もいます。FIVキャリアの猫とそうでない猫を比べても、双方の寿命にほとんど差がないという説もあります。
ココアちゃんを迎え入れた預かりボランティアさんは前向きにお世話を続け、さらなる未来には里親さんとの出会いがあることを願いました。
■保護から約9カ月に吉報が届いた!
日々の生活でココアちゃんは次第に本来の姿を見せてくれるように。抱っこされるのが大好きな甘えん坊で、預かりボランティアさんの家の中を楽しそうに駆け巡り、目が合うと「テヘ!」と舌を出してアピール。「目が合いましたよね。なんかおやつをくださいな」とでも言っているかのようで、とにかくお茶目でちゃっかりした性格でした。
ただし、複数回の譲渡会などに参加しても、なかなか「ずっとのお家」が見つからなかったのも事実。
「こんなに良い子なのに……」と残念がる預かりボランティアさんでしたが、保護から約9カ月後、「迎え入れたい」という優しい夫婦が現れました。
■先住猫が使っていたキャットタワーに登ってキョロキョロ
里親希望の夫婦は、過去に保護猫2匹を看取った経験があるそうで、言葉の端々に猫への愛情が溢れていることがすぐにわかりました。
夫婦の家に訪れたココアちゃんは、少々戸惑いながらもすぐに探検。先住猫が使っていたキャットタワーにもズンズン登り、一番上のカゴの中に入って部屋中をキョロキョロ見渡しました。「ここはどこなの?」といったオトボケな表情を浮かべていましたが、翌日以降はすっかり馴染んで、「ずっとこの家で暮らしていた」かのように元気に遊び回るようになり、後には新たに「ふーちゃん」という名前をもらいました。
保護から正式譲渡まで、しばらく時間がかかったココアちゃん改めてふーちゃんですが、この優しい夫婦と赤い糸で縁が結ばれていたのかもしれません。これから先さらに幸せいっぱいの猫生を送ってくれることでしょう。
(まいどなニュース特約・松田 義人)