観光地のトイレに遺棄された3匹の子猫 小さな命を救うため親子は旅行を中断した そして物語はハッピーエンドに

高知県西部にある観光地を、ロードバイク(自転車)で巡っていた広島県在住のSさんと小学生の息子さん。観光地のトイレに行ったところ、思わぬものを目にしました。

それは段ボールに入れられた生まれたばかりの子猫3匹。目も開いておらずヘソの緒もついたまま。3匹は必死に鳴いて助けを求めているようでした。

警察に通報しましたが、駆けつけた警察官は遺棄した人の捜査はするものの、子猫の保護はできないと言います。

Sさん親子は「子猫3匹を放っておくわけにはいかない」とロードバイクでの旅を中断。地元の団体などを調べ、高知市内に拠点を置く愛護団体・アニマルサポート高知家を見つけ、相談。後に、Sさん親子は、団体と提携する預かりボランティアさんの家がある高知市内まで子猫3匹を届けてくれました。

■団体に思いを託した後も子猫3匹の動向を心配したSさん

団体でのお世話を受け、なんとか命を繋ぐことができた子猫3匹。

Sさんは「子猫だし無事に成長してくれれば、里親さんともすぐにマッチングできるだろう」と考えていました。

しかし、後に保護される猫は子猫・成猫とも想像を超えるほど多いことを知り、子猫だからと言って必ずしもすぐに里親さんに迎え入れられるわけではない実態も知りました。

Sさんは、あの日、高知の観光地で救った3匹の子猫のことが頭から離れず、地元・広島でも「迎え入れてくれる人はいないか」とあちこちに問い合わせをすることにしました。

■Sさんの決心の前に立ちはだかる問題が…

しかし、広島の身内や知人の間には「子猫3匹を迎え入れる」という人を見つけることができませんでした。

それでもSさんはあの子猫3匹のことが頭から離れません。日を重ねるごとに「人間にむげに遺棄された3匹に、なんとしてでも3匹に幸せになってほしい」という思いが強くなり、そこである決心をしました。

「あの子猫3匹はうちで迎え入れる」

あの日、一緒に助けたSさんの息子さんはもちろん家族も全員同意。果たして子猫3匹は、すぐに広島のSさんに迎え入れるはずでしたが、ここで一つの問題が発覚しました。

■白血病の反応が陰転。3匹一緒に迎え入れられることに

1匹に白血病の陽性反応が出てしまったのです。「白血病の陽性の1匹だけを残して、健康な2匹だけを引き取るというわけにはいかない」と、しばし当初の想いを再考することになりました。

しばらくの間、迎え入れを保留しましたが、団体の献身的なサポートとSさんの思いが通じたのか、白血病の子猫の陽性反応が陰転。以降、無治療に過ごせることがわかり、3匹は広島のSさんの家に迎え入れられることとなりました。

■「3匹一緒だから幸せも3倍」

子猫3匹を迎えるため、Sさんは再び高知の団体の元に迎えに行きました。Sさんの姿勢に団体メンバーも熱い気持ちが込み上げました。

広島の家で過ごすことになった子猫は、それぞれ「メリダ」「コラテ」「マリン」と名付けられました。いずれもあの日、ロードバイク旅の途中で出会ったことから、バイクのパーツブランドに由来する名前です。

3匹はいっぱい食べスクスクと成長。イタズラ盛りですが、Sさんは「3匹一緒に迎え入れたから、幸せも3倍です」と目を細めます。

あの日、救われた生まれたばかりの3匹の命。こんなに優しいSさんの元で、さらに幸せいっぱいの日々を送ってくれることでしょう。

アニマルサポート高知家

https://anisupo.jimdofree.com/

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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