役に立たないから棄てられた? 鳥猟犬のセッター 保護から半年、やつれた表情に生気が戻った 賢いあなたにご縁がありますように

「鳥猟犬(ガンドッグ)」と呼ばれるワンコたちがいます。

獲物を撃ち落とすハンターを補佐する役割が多く、他の猟犬の多くに見られるような好戦的な性格ではないイングリッシュセッター、イングリッシュポインターなどが主な犬種です。幼い頃から鳥猟犬としての訓練を受け、猟のシーズンになれば飼い主の鳥猟に寄り添い活躍しますが、この猟のシーズン後に増えるのが、「鳥猟犬の遺棄」です。

「もう役に立たない」「怪我や病気をしたが、治療費がかかる」といった飼い主の身勝手な理由で棄てられるケースが後を絶ちません。

■鳥猟犬引退後ひどいネグレクトを受けていた?

2023年秋に千葉県動物愛護センターに収容されたレスカというイングリッシュセッターもそんな鳥猟犬でした。かつては飼い主に仕え猟をサポートしていましたが、何らかの事情からひどいネグレクトを受けていました。

千葉県のガンドッグを積極的に保護し幸せへと結ぶ団体、GUNDOG RESCUE CACI(以下、CACI)では迷わずにレスカを引き出し、世話することにしました。

■幸い人間への信頼を完全には失っていない様子

レスカの左後ろ脚には障がいがあり、左耳は外耳炎、保護時は顔の周りに皮膚炎が見られました。CACIメンバーはレスカが心身ともに健康を取り戻してくれるように世話を続けました。

幸いレスカはまだ人間への信頼を完全には失っていない様子。やつれた表情ながらも、甘える素ぶりを見せます。また厳しく指示を出すと姿勢を正しビシッと従います。こういった素ぶりを見ると、かつて鳥猟犬として活躍していた頃のレスカの姿を想像できます。

■再び人間を信じ寄り添う喜びを感じてくれるように

保護当初のレスカはけが、持病、精神的な不安からか、人間に甘えながらもやつれた表情でした。

約半年ほどが経過し心身ともに健康になると表情が豊かになり、目が合えばニコニコの笑顔を浮かべてくれるようにもなりました。

呼びかけにも実に従順。名前を呼べばすぐ戻ってきます。なでてあげたり、オヤツをあげるとさらにニコニコ。もう一度人間を信じ、そして寄り添うことの喜びを感じているように映ります。

■怪我も含めて迎えてくれる家族を待ち続ける

レスカの左後ろ脚の障がいは、当初骨折とみられましたが、なかなか完治しないことからセカンドオピニオンで診てもらったところ、「前十字靭帯断裂」という骨折よりも複雑なけがとわかりました。

このけがによって関節炎が伴います。また手術よりも保存療法が適しているとのことで、レスカはこのけがとずっと付き合い続ける必要があります。

痛みを抱えるレスカですが、それでもきちんと歩行し人間と目が合えばまたニコニコ。こんなにお利口さんで愛くるしいレスカに、けがを含めて受け入れてくれる優しい家族が現れますように。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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