老舗SF雑誌の特集に唖然!?女性ファッション誌とのコラボ企画に発売前からSNSで反響、編集者に聞いた
8月23日に刊行される「SFマガジン10月号」が「SF」と「ファッション&美容」を掛け合わせるという一風変わった特集内容で、発売前からSNSで注目を集めました。
7月16日に版元の早川書房(東京都千代田区)の公式「X」アカウントから投稿されたポストにはこんな投稿が。
「【刮目せよ】
SFマガジン10月号、ファッション&美容SF特集の撮りおろし表紙ビジュアルを先行公開!
詳細はこちら」
同社公式「note」では、10月号予告ページへのリンクが貼られています。
「まあきれい。撮り下ろしの写真ですって!」
「モード誌かと二度見」
「面白そう過ぎる。」
「SFマガジンのファッション&美容SF特集って!?と思ってリンク先見たら、『女性誌〈CLASSY.〉着回しDiaryとのコラボ企画』とあってワロタのです。
CLASSY.って、日本沈没まで1ヶ月の着回しとかクローズドサークル?の雪山ミステリーでの着回しとかの企画載せてた雑誌ですよね」
思いもよらない状況下でのコーディネートがこれまでもネットで話題になってきた女性ファッション誌〈CLASSY.〉(光文社)の人気企画とのコラボに驚く声がポストの引用コメントにて届いています。
■「ヤバい」特集!?
「いま、SFマガジンという雑誌の、『ファッション&美容SF特集』の周辺記事のゲラを読んでいるのですが、想像以上のヤバさです。どうヤバいかというと、SFという概念の下にファッションとかコスメという概念があるのではなく、SFの上にファッションやコスメの概念があるというレベルのヤバさ。」
「SFマガジン」の前編集長である塩澤快浩さんは8月3日に「X」のポストにてこう説明していますが、「SFの上にファッションやコスメの概念があるというレベル」とはいったい…。銀河の両端に位置するくらい、かけ離れているかのように感じていた二つの概念が実はヤバいくらい親和性の高いものであった、ということでしょうか?いや、やはりよく分かりません!
そこで本企画の立案者であり編集者になって4年目だというSFマガジン編集部の金本菜々水(ななみ)さんに詳しい話をお聞きしました。
■これまで「SFでファッションや美容について語られることが少なかった」
--とても斬新な企画です、思いついたきっかけは?
もともと大学の国文科で林芙美子や田辺聖子、有吉佐和子のような近現代女性作家の作品について勉強していたこともあり、当時の日本の百貨店文化や服飾について書かれた小説に興味がありました。人並みにではありますがファッションやメイクも好きだったので、就職活動中は人生経験の一環と思って、アパレルや化粧品メーカーも受けていましたね。
その後、新卒でSFマガジンに配属されて1~2年経った頃に、菅浩江『誰に見しょとて』やテッド・チャン「顔の美醜について-ドキュメンタリー-」を読んで「こんなに優れた作品があるのに、SFではファッションや美容についてあらためて語られることが少なかったのだな」と思い、特集テーマとして提案したのがきっかけです。
■『日本沈没』パロディの着回しを見て、すぐにCLASSY.編集部にお声がけした
--「女性誌〈CLASSY.〉着回しDiaryとのコラボ企画」に「X」で驚きの声が上がっていました。
特集の内容を考えているときにちょうど『日本沈没』パロディの着回しが話題になっていたので、すぐにCLASSY.編集部にお声がけしてコラボさせていただく運びとなりました。皆さんご存知かもしれませんが、これまでにも着回しDiaryでは「ゾンビ」「推理作家」「宇宙人」など破天荒な設定がいくつも登場していますので、その懐の大きさに助けられた部分が大きいです。
--『日本沈没』パロディの着回しは衝撃的で「まいどなニュース」でもご紹介させていただきました。今回はどんな世界観が展開しているのでしょうか?
今回はSFマガジンとのコラボということで、かねてから〈CLASSY.〉を愛読されている作家の新川帆立さんに着回しDiaryのストーリーを描き下ろしていただきました。ファッション誌の企画は季節感が命、ということで「季節の変化にも人生の変化にも対応するワードローブ」として、読み物としても面白く、そして実用的な内容になっています。SFファンならニヤリとしていただけるような最新の時事ネタも盛り込んでいただきましたので、どうぞお楽しみに。
■「ファッション」はいちばん身近な「SF」の形式なのかも
--このユニークな企画をどんなふうに楽しんで欲しいですか。
ファッションやメイクに興味がある方はもちろん、そうでない方にも「こんな世界があるんだ」と楽しんでいただければ幸いです。おしゃれは決して人に強要されるものではありませんが、どんなに身なりに無頓着な人でも、多かれ少なかれファッションや美容にかかわっているはずです。そしてその背景にある技術や思想について知ることで、「装い」はより豊かになっていくのではないでしょうか。服やコスメは身につけるためのものですから、そういう意味では、いちばん身近な「SF」の形式なのかもしれませんね。
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さらに「特集については、国内外の短篇小説、ビジュアル・ストーリー、香水批評、気鋭のファッションデザイナーや化粧品会社の研究員へのインタビュー、座談会、作品ガイドなどでお届けします」と本号の読みどころを語る金本さん。実は遠くて近かった(かもしれない)「SF」と「ファッション」の融合世界に興味のある人はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
(まいどなニュース特約・山本 明)