街を彷徨っていた保護犬 小柄な先住犬から圧受けても闘争心ゼロ 温厚な性格が優しい家族との赤い糸になった
2022年秋ころ、首都圏のとある街中できょうだいらしき3匹のワンコが彷徨っていました。人間のことをよく理解している様子で飼い犬のように見えました。
最もおとなしくビビリだったのがメスのさくら。保護当時、推定年齢3~5歳ほどでした。
西東京で保護活動を続けるチーム「いぬとずっと ハッピーアダプション部」では、さくらを保護し適切なお世話をした後、ずっとのお家に繋げることにしました。
■自分より体が小さい先住犬にも遠慮がち
保護後、さくらはチームメンバーの家で過ごすことになりました。
初対面と同様、控えめで穏やかな性格で闘争心はまるでありません。この家にいる先住犬に監視されると、ケージの奥のほうで気配を消し争うことを望まないそぶりを見せました。散歩が大好きで、日々メンバーの家のお父さんに連れられ、ワクワクしながらうれしそうに歩きます。
先住犬にとっては面白くなかったのでしょうか。「大好きなお父さんを取られた」と思ったのか、さくらがいるケージの前に立ちはだかり、さくらを出さないようにします。自分より体が小さい先住犬ですが、またもさくらは気配を消し、申し訳なさそうに過ごしていました。
■2週間ほどで理解した「ここが私の『ずっとのお家』」
そんな控えめな姿がまた愛おしく思わせるさくらでしたが、しばらくして里親募集を開始すると「迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。小学生のお子さんがいる家族。「さくらの控えめなところが良い」と言ってくれ、ここで第二の犬生の一歩を踏み出すことになりました。
この家のお子さんは、さくらがやって来る日までワクワク。さくらを迎えるまでに揃えるべきケージなどの準備はもちろん、お家の壁をかわいくデコレーションして迎え入れました。
それでも、さくらはここでも緊張気味。オドオドする日々を送っていましたが、迎え入れてから2週間ほどが経過すると、里親さん家族の愛情を感じ取り「ここが私の『ずっとのお家』なのね」と、ソファでくつろぐ姿を見せるようになりました。
■「大好きな散歩に、遠慮なく連れていってもらってね」
現在、さくらは温かい家庭の愛情に包まれながらスクスクのんびり過ごしているようです。
卒業の際、うまく主張できずいつも控えめだったさくらの姿を思い出すと、メンバーは「さくらロス」となり、正直少し寂しくも感じたと言います。
でも、優しい里親さん家族に愛され、第二の犬生を歩み始めてくれたことは何よりもうれしいことです。大好きな散歩に遠慮なく連れていってもらい、いつまでも明るく元気に過ごしてほしいと願いました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)