BMWの新しい電動バイク「CE 02」、今後の普及への課題は… 試乗して驚いたこととは?

 一時よく言われたEVシフトの流れが少し落ち着いた感じの四輪の世界ですが、それでも街中でEVが珍しくないという程度には増えてきている印象です。対して二輪の世界では電動はまだまだ珍しいかな、という昨今。BMWから気軽なシティコミューターとして登場したCE 02に試乗してきました。

■BMWの電動バイク、CE 02とは

 2022年、BMWは電動バイクCE 04を発売しました。定格出力15kW、軽二輪(250cc未満)のカテゴリーですが、重さは230kg超、価格も200万円超というかなり大きなバイクでした。(BMWの量産電動バイクとしては2017年、C Evolutionというモデルが最初で、CE 04は二世代目です)

 今回デビューしたCE 02は定格出力6kW、CE 04と同じ軽二輪の枠ですが、車重は132kg、原付2種くらいのコンパクトさです。バッテリーも1.96kWh×2で3.92kWh。カタログ上の航続距離は96kmという、正直かなり控え目な感じのデータです。

 最近国内では軽自動車規格のEVが好調といわれています。通勤とか買い物などがメイン、遠くへ行かない、という日常の足としての用途に(いまのところは)EVが合っている、ということでしょう。20kWhの比較的小さなバッテリーで、航続距離180km(実際には100kmくらい?)程度、そのかわり家庭用充電器で一晩で充電できる、という割り切った設定です。

 CE 02も、コンセプト「eパルクーラー」のとおり、日々の街中の移動を楽しく快適にこなすことに特化したバイクで、長距離のツーリングなどをすっぱりと切り捨てたことで、このコンパクトさを実現しているのでしょう。

■とてもパワフルで乗りやすい

 キーはリモートキーです。電源ボタンを押して、サイドスタンドを払って、セルスイッチ風のスイッチを押すとメーターに「READY」と青く表示され、そこでアクセルを捻ると「くいっ」と走り出します。音もなく、なんの前触れもなく、ほんとに「くいっ」と走り出すんですね。むかーし、初めてCDプレーヤーを聴いたとき(ってホントに昔ですね)、全くノイズのないところからいきなり山口百恵のプレイバックパート2が立ち上がってきたあの感じを思い出してしまいました。

 EVもそうなんですが、エンジンに慣れた身にはこの出だしのタイムラグの無さには最初戸惑います。アクセルを捻る→エンジンの回転が上がる→駆動が掛かる、というプロセスをすっ飛ばしていきなり駆動が掛かる感じ。思ったよりも半拍早く前に出る感覚に虚を突かれるというか。

 ただ、アクセルをじわじわっと開けていくと、このバイクの良くできてるところが感じられます。エンジン式のスクーターだと、車種ごとに遠心クラッチの繋がる回転とか感覚が違うので、最初に乗ったときの出だしは少し慎重になりますよね。アクセルをゆっくり開けていくとぷるるっと回転が上がって、繋がるかな、まだかな、おっ、きたきた、という瞬間。CE 02はそれがなくて、ホントに微妙に開けたところでそれこそ歩き出すようにスムーズに動き出します。極低速のコントローラブルさが、まるで電動ミシンの様にじわじわっと調整できる感じなんです。

 最高出力は11kW(15馬力)、でもトルクが5.6kgmもあります。これは250ccのエンジンの倍以上なので、かなり加速は速いです。走り出しは無音ですが、40km/h辺りから音量は低いものの結構モーターの唸る音は聞こえます。きゅわーんというちょっと電車っぽい音です。シートは低くてスリムですが、かなり硬いです。トライアラーより少し快適かな、くらいの硬さです。ポジションはカブのハンドルを少し高くして幅を広くしたような感じ。アップライトな姿勢で良い感じの加速が楽しめます。

 走行モードは「Flow」「Surf」「Flash」とあって、それぞれパワー感と回生ブレーキの強さが変わります。が、正直パワー感の違いはあまり感じませんでした。ただ回生ブレーキは結構変化がわかりやすくて、Flashにするとほとんどブレーキを使わないで車速がコントロールできる、クルマでいうところのワンペダルのような乗り味になります。

■この先普及するかどうかは充電環境次第かもしれない

 実際に乗ってみて、乗りやすくて変な癖もなく、通勤や通学で往復50kmくらい乗るという使い方にはなかなかいいバイクだと思います。ただ、充電は家庭用のコンセントから専用の充電器で5時間半(標準)、外出先でEV用の充電スポットは使えない、バッテリーは取り外せないのでコンセント付きの自宅ガレージがある人向け、という辺りが現状では少し厳しいかなという気はします。

 とはいえ、BMWはシティコミューターの二輪でこの先エンジン車は出さないということなので、この先値段も含めてフレンドリーに進化していけば、いつの間にか街中でよく見るバイクになっていくのかもしれません。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)

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