「プライベートな時間に連絡が来るのはイヤ」…アルバイトの約4割が「個人SNSの業務利用を問題視」
ディップ株式会社(東京都港区)のディップ総合研究所と株式会社アイリッジ(東京都港区)は、このほど「コミュニケーションにまつわるアルバイトのEX(Employee Experience:従業員が企業で働く中で得られる体験)」に関する調査結果を発表しました。同調査によると、アルバイトで働く人の約4割が「個人SNSでの業務コミュニケーション」を問題視していることがわかりました。また、その理由としては、「プライベートな時間に仕事の連絡が来ることを避けたいから」が最多となったそうです。
調査は、全国の15~49歳の男女1万6272人を対象として、2024年7月にインターネットで実施されました。
調査の結果、アルバイトの業務上のコミュニケーションを「個人的なSNSで行うこと」について、現在アルバイトをしている8007人のうち、27.8%が「できるだけ分けるべき」、14.2%が「望ましくないと思う」と回答し、合わせて4割以上が問題視していることがわかりました。
また、「個人SNSでの業務上のやり取りが望ましくない理由」については、「プライベートな時間に仕事の連絡が来ることを避けたいから」(46.9%)が最多となり、いわゆる「つながらない権利侵害」への不安や抵抗感を持っている人が半数近くにのぼることが明らかになりました。
年代別にみると、10代では「SNSは個人的なつながりの人のみに留めておきたいから」(42.9%)、「自分のプライベートな一面を見られることに抵抗があるから」「プライベートな時間に仕事の連絡が来ることを避けたいから」(いずれも39.0%)などが上位に挙がり、時間外の連絡有無以前に個人SNSで仕事のつながりを持ちたくない傾向が浮き彫りとなっています。
ちなみに、アルバイトにおける「実際に経験したトラブル」では、「業務時間外のメッセージが来る」(37.6%)が最も多く、次いで「シフト相談などの連絡や通知が多い」(34.2%)、「本当は交換したくないけど仕方なくLINEを教えた」(33.1%)といった回答が続きました。
他方、企業側の意見として、アルバイト従業員が多く活躍する7業種に勤める社員および管理者8265人に調査をした結果、個人SNSでアルバイトとやり取りすることに対して「問題視」している人が半数程度を占めました。
その一方で、LINEを中心とした個人SNSでのやり取りは現状幅広く行われており、最も問題意識の高かった飲食業でも48.7%とほぼ半数が個人SNSを介してアルバイト従業員とやり取りしていることがわかりました。
そこで、アルバイトとのやり取りに「個人SNSを利用している理由」を教えてもらったところ、「アルバイト全員から(ビジネスチャットツールなどの)利用の合意を得ることが難しい」(25.9%)、「アルバイト人数分のコストがかかる」(25.3%)、「機密情報を扱う社員同士のツールとは分けるため」(23.2%)といった意見が上位に並びました。
最後に、「アルバイトとのコミュニケーションツールに求めるもの」を尋ねたところ、「シフト表を確認できる」(36.3%)、「分かりやすく簡単に操作できる」(36.1%)、「写真や動画をアップして共有できる」(24.7%)などに回答が集まり、特に個人SNSでアルバイトとやり取りしている割合が高かった飲食業では、「シフト調整」や「交代・ヘルプ要請」など、シフト関連の需要が全体と比べて高くなったそうです。
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これらの調査結果を踏まえて同研究所は、「人が集まり、定着する職場づくりのためには、使用するツールやサービスをはじめ、連絡する時間帯や休日対応など、双方の合意を基に検討を行うことが重要なのではないでしょうか」とコメントしています。