「なにこれ、使いやすい!」…ローソンのデザートスプーンの“こだわり” 口当たりを追求しオリジナル設計、環境にもやさしく進化

ローソンでデザートを買うと付いてくるデザートスプーン。使用後はゴミとして処理されることが多い小さなスプーンだが、ある日のこと、デザートを食べながらふと気がついた。

「なんだこれは? すごく使いやすいじゃないか!」

容器の微妙な曲線部分へ絶妙にマッチする側面のアール、底に残ったクリームを無駄なくホールドできるヘッドの張り出し。もしや、わざわざ意識して設計されているのだろうか。株式会社ローソンコミュニケーション本部広報部に聞いた。

■設計はローソンのオリジナル 小さなスプーンひとつにも企業努力

このスプーンは「デザートスプーン」といい、デザートを買うと付いてくるプラスチック製の小さなスプーンだ。材質はとくに変わったものではなく、一般的なプラスチックとのこと。2009年の「プレミアムロールケーキ」を発売後、もっと食べやすく、もっとおいしくクリームを味わってもらうため2010年に開発されたという。

「ロールケーキをスプーンで食べるという、新しい提案をいたしました」

従来のスプーンは、プラスチックを成形する際に金型の隙間からわずかに流出して固化した微細な「バリ」が残って、口周りや舌先にざらつくような感触があった。

「クリームの滑らかさをしっかり味わって食べていただけるようなスプーンを追求しました。オリジナルの設計で金型から製作したため、開発には半年ほどかかっています」

その後、用途はカップ入りのデザートにも広がり、容器の内側や底に残ったクリームもしっかりホールドでき、最後まですくい取れる優れものとして、デザートには欠かせなくなっている。

実際に使用したお客さんの反響はどうだろうか。

「使いやすい、食べやすいとおっしゃっていただくと、そういう方もいらっしゃるのかなと思うのですが、それを目的で来られる方がいらっしゃるかどうか証明が難しいです。どちらかというと、商品がおいしいとおっしゃってくださるお声の方が、やっぱり圧倒的ですね」

スプーンにフォーカスした効果測定は、たしかに難しいかもしれない。ちなみに筆者がローソンを訪れる際には、このデザートスプーンを使いたいことが目的のひとつになっている。

■SDGsを意識してデザートスプーンも進化

このように「プレミアムロールケーキをおいしく食べるため」という目的で開発されたデザートスプーンは、じつは初期タイプから進化を遂げている。

プラスチック製品を設計段階から資源の節約や有効利用を促進して、ごみの削減を目指す「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環促進法)が2022年4月1日から施行されたことに合わせ、ローソンは持ち手部分に穴をあけ長さを短くしたプラスチック製スプーンとフォークを順次導入してきた。また、木製スプーンの選択を、店舗が自由にできるようにもしている。

これに伴って、通常タイプのスプーンとフォークは全長が1cm短くなり、柄の部分に穴があけられた。その結果、プラスチックの使用量が、スプーンは約14%、フォークは約10%削減された(各1本あたり)という。

デザートスプーンも、長さは従来のまま11.5cm(実測)で変更はないが、柄に穴があけられて、プラスチック使用量は約4%削減されたそうだ。これによりプラスチック使用量は、年間約67トン削減される見込みだという。

使い終わったら捨てられる運命にある小さなスプーンにも、背景にはこれだけの企業努力とストーリーが展開されていたのだ。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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