ミシュラン獲得料理人が手がける“和食の新境地” 定番メニューのない会員制料理店が掲げる「御和食」の世界

「御和食(おわしょく)」なる新分野を提案し、エンタテインメント性あふれる料理で話題を呼んでいるのが東京・青山にある会員制料理店「御和食みうら」だ。定番メニューはなく、旬の食材をそのつどの“ひらめき”で提供しているのが人気の理由。ミシュランの星を獲得したこともあるオーナー料理人の三浦雄太さんに「御和食」への思いを聞いた。

■ひらめきで創られる料理が独創的でスゴすぎる

2022年4月、東京・南青山に誕生した「御和食みうら」は会員制の和食店。オープン以来、多くのお客様で賑わっていて、ユニークなのは定番メニューがなく、お客様は訪れるまで何が出てくるか、わからない。というのも、料理人、三浦さんのその日の“ひらめき”で料理がつくられるからだ。

「前もってメニューは考えてはいません。厨房に立ち、ひらめきによって自然と体が動き、料理づくりが始まります。定番メニューがないということは、毎日が真剣勝負。代金をいただいているのですから、お客様に満足していただけるものでないと出せません」

例えば、鰹節をトッピングした「鰻巻」が出てきたり「低温炊きマグロのユッケ」が評判になったり。また鮎の開きを提供したり、庶民グルメの「たこ焼き」も独自にアレンジしたものを出したり…。そんな三浦さんの“ひらめき”料理は「独創的でインパクト大」とたちまち評判になった。

気になったのが店名についている「御和食」という言葉。その意味を聞くと「今や麻婆豆腐もスパゲッティも和食と呼んでいいと思います。私は広義に和食をとらえ、ワンランク上の和食を提案したいと考え、御和食としました」と返ってきた。

三浦さんが掲げる「御和食」は、修行の中で培った日本料理の技術や知識、そして自身の発想をいかしつつ、形式にとらわれない自由な発想や遊び心、季節ごとに変わる食材と毎日違う料理でその世界観を表現してきた。西洋料理、中華、カレー、パンなども三浦さんの手にかかれば御和食に変身する。

「例えば、カレーパンをつくるとしたら生地の研究からはじめます。以前、アンキモを使ったカレーパンをつくったこともありますよ」

■ミシュランも獲得、和食のエンタティナー目指す!

この道に入ったのは25歳のとき。料理人としては遅すぎるスタートである。そのため、専門学校などには行かず、現場で覚えることにした。京都の料亭などで修行を積み、32歳で料理長に。他店ではあるが、32歳でミシュランも獲得。2019年からフリーランス料理人として活躍し、2022年4月、東京・南青山で店を出した。

「25歳までは違う業界にいましたが、生涯をかけてやれる職業と考えていった結果、この仕事に辿り着きました。父も料理人で、気がつけば、僕も同じ道を目指していたわけです」

様々な店で修行してきた三浦さんは「プロならおいしいのは当たり前。お客様を楽しませるのも料理人の仕事」と言い切り、お客様にも調理風景を楽しんでもらいたいとライブキッチンにし、お客様の熱い視線を浴びながら春慶塗の粋なつくりのカウンター前ですべての調理を行っている。

「私の舞台はカウンターであり、ここで始まる料理の一幕一幕は、お客様が座られてから始まります。事前の料理はご来店いただくまでの下準備に留め、お客様の目の前で食材が生まれ変わる瞬間をご覧いただけるようになっています」

■季節の味覚とパフォーマンスが堪能できるランチ&ディナー

カウンター席に座れば、料理人の熟練の技を間近で楽しむことができると評判だ。五感を通じて御和食の世界観を感じてもらえるように、季節ごとに変わる新鮮な素材を使った料理を提供している。

「おいしいの前に楽しいと思ってもらえるのが一番。みうらでしか味わえない料理をお客様が笑顔で楽しんでいただけると私自身、うれしくなります」

デザート類も見逃せない。少し意外だが、イチゴパフェが出たり、スイカ入りのメロンソーダーが出されたり。「みうらワールド」には最初から最後まで驚かされぱなし。昼も夜も予約で埋まっているのも納得だ。

◇「御和食みうら」

東京都港区南青山3丁目2-3 カトレアビル3F

営業時間:ランチ11:30~、ディナー19:00 ~(一斉スタート)

※完全予約制

定休日:日曜日 (毎週)

席数カウンター8席、個室1(6席)

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