右腕切断の元投手を支援 「ピッカリ投法」元近鉄・佐野慈紀氏のグッズ販売開始 左投げで再起へ
スポーツ関連のアパレル事業などを手がける株式会社キャンビー(東京)は8月から、プロ野球近鉄で活躍した佐野慈紀さん(56)のアパレル商品の販売を始めた。病気のため5月に右腕を切断した佐野さんを支援するため立ち上がった企画で、売り上げの一部がロイヤリティーとして本人の元に渡る。
■左投げで「ピッカリ投法」復活へ
佐野さんは1990年ドラフト3位で近鉄に入団し、中継ぎエースとして活躍。NPB通算353試合に登板した。振りかぶった際にグローブで帽子を引っかけて落とし、薄い頭髪を露出させる「ピッカリ投法」を披露するなど明るいキャラクターで人気を博した。
現役引退後は解説者などとして活動していたが、かねてから治療していた糖尿病が悪化し、今年5月に右腕の切断手術を受けた。手術後も佐野さんはブログでの情報発信を続け、「かがや毛~!ぴっかり投法を再び輝かせるプロジェクト」と題し、左投げに挑戦することなどを宣言。「身体が不自由になっても伝え方はある」と、野球の魅力や病気の体験を伝えていく意欲も示している。
キャンビーはこれまでプロ野球名球会などとコラボし、王貞治さん、長嶋茂雄さんらレジェンドOBのグッズ開発を多く手がけてきた。今回、同社の神戸洋昭社長(43)のもとに、佐野さんの知人からグッズ化で何らかの支援ができないかと相談があったことがきっかけで、企画が立ち上がった。
グッズには佐野さんのイラストや「SPARKLE AGAIN」(再び輝く)のキャッチフレーズがデザインされている。イラスト横にある「かがや毛~」のフレーズは佐野さん本人たっての希望で追加されたものだという。商品はTシャツ(税込5500円)のほかパーカー、トートバッグなど17種類。購入ページはブランド名「コンビネーションミール」で検索。
佐野さんは発売に際して「自分のトレードマークであるピッカリ投法のイラストを作成いただき、各種アパレル商品の企画販売をいただくことに感謝しております」「一日でも早く復活してピッカリ投法を披露させていただきますので、応援下さい」とコメントを寄せている。
神戸社長は「微力ながら佐野さんの復活を支援できれば。左投げの姿が見られる日を楽しみにしています」と話している。
(まいどなニュース・小森 有喜)