崩れそうな廃墟から救い出された小さな子猫 まだ人は信じられないけれど…新たな家族との出会いを待ち続ける
■廃墟から救い出された命
崩れかけた古い家、周囲からは「お化け屋敷」とささやかれていた場所。その家で小さな命が生まれていました。ある日、保護活動をしているHさんは近隣の住民からの通報を受け、その廃屋を訪れることになります。玄関の戸は半開き、天井は崩れ落ち、居間にはちゃぶ台とお湯呑みがぽつんと置かれ、隣の部屋には人の骨壷が転がっているという、何とも言えない不気味な光景が広がっていました。
その中で一際目を引いたのは、朽ち果てた家の様子とは対照的な、真新しい掛け軸に書かれた「南無妙法蓮華経」の文字。そして、その掛け軸の前で捕獲機に入った猫が、Hさんに見つけられました。こうして、彼女はこの小さな命に、「南無妙法蓮華経」にちなんで「南」と名付けました。
■恐怖の廃墟での保護活動
Hさんは、荒れ果てた庭に散らばる蝋燭立てや、放置されたままの遺骨と遺影に不安を感じながらも、2日間で4匹の仔猫を捕獲しました。
中には、人に慣れずに野良として生き続ける猫もいれば、残念ながら命を落とした猫もいました。崩れかけた家での保護活動は、Hさんにとって恐怖そのものだったと言います。「もう二度と近づきたくない場所」と語る彼女の言葉から、その体験の過酷さが伝わってきます。
■人慣れは不可能に近い
捕獲された4匹のうち、生き残った南ちゃんは、Hさんの元で家庭内野良として生活を続けています。しかし、その後も里親は見つからず、彼女の新しい家族となる人を探し続けています。家は取り壊しが始まりましたが、何か異変があったのか途中で中断されたまま。南ちゃんは今も家庭内野良としての生活を送っています。
南ちゃんはまだ物陰に隠れたまま暮らしていて、人には心を開いていません。里親を探すつもりはありますが、Hさんは長年の経験から、難しいと感じています。4匹保護されて残っているのは南ちゃんだけ。人馴れしていなくてもいいと言ってくれる里親との出会いが待たれます。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)