ひとりぼっちだった子犬とペットロス家族 亡き先住犬が出会いを取り持ってくれた? 優しい家族の一員でずっと幸せに 

元野犬は他のワンコとの触れ合いには長けている一方、人間は苦手なワンコが多いもの。しかし、生後2カ月ほどの子犬のこたに限っては、人間が大好きなワンコです。

目が合えば「遊んで!」と自ら歩み寄り、「かまってくれる人」「優しい人」だと気付けばベタベタにすり寄せてきます。なんともかわいいしぐさですが、まだ生まれて間もないこともあり、相手の状況には配慮はなく、ときにお世話してくれているお家のパパさんの頭にお尻をすり寄せることも。

こたの好きなようにさせるパパさんの懐の深さは感動もの。こたはこんなふうに人間と触れ合いながら日々を過ごしていました。

■親きょうだいとはぐれたのか、ひとりぼっちで彷徨っていた

もともとこたは、東海エリアの野犬が多い地域でひとりぼっちで彷徨っていました。とある保護団体がまず保護。後に、別の団体・スリール~犬達の幸せ探し~に引き取られました。そこで団体のワンコのサポートをする前述のパパさんの家でしばしお世話を受けることとなったというわけです。

この家には、一時預かり中でお世話を受ける先住犬がいますが、こたは人間だけでなく、他のワンコとの協調性も抜群。先住犬の行動を真似して、同じように遊ぶ姿はなんともかわいらしいですが、まだ小さいことから思い通りにならないと、つい口が出てしまうこともありました。

これは同じ月齢のワンコならよく見られる行動です。口を出した場面で優しく注意すれば、「これやっちゃダメなんだな」とすぐに学習する賢さも持ち合わせていました。

■ペットロスの家族がこたを知り、前向きな気持ちになった

こたはこの家のパパさん、ママさんだけでなく、お子さんも大好き。誰かが朝起きたり、出先から帰ってくれば「僕ならここにいるよ!」と全員に挨拶してくれるようにもなりました。

家庭犬としての様々なトレーニングに加え、散歩やドッグランもデビュー。持ち前の明るさと運動神経の良さでのびのび成長しました。程なくして朗報が舞い込みます。「こたを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れたのです。

この里親希望者さんは、2024年1月に長年愛情を注いできた柴犬を看取ったとのこと。数週間が経過しても、虹の橋を渡った先住犬が忘れられず、その姿を家族全員で思い出しては涙を浮かべる日々だったそうです。そんな折、こたの存在を知り「迎え入れたい」と家族全員で決めてからは、前向きな気持ちになったそうです。

■先住犬の生まれ変わりか縁を繋いでくれたか

さっそくこたはこの優しい家族の元で一定期間のトライアル。やや元気すぎる面がありますが、トライアル当初はビビり気味。それでも家族みんなが「まるで赤ちゃんが生まれたよう」と喜ぶと、すぐにこたも心を開くようになりました。

トライアル期間中でこた自身も成長。心を開きながらも、以前のようになりふり構わぬ甘えぶりは自重するようになりました。その澄まし顔は「僕まだ小さいけど、ちゃんと分別だってつくんですよ?」と言わんばかりです。

果たして、こたはこの優しい家族のもとに正式に巣立っていくこととなりました。

虹の橋を渡った先住犬。同時期にこの世に生をうけたこた。先住犬がこたに生まれ変わったのか、それとも家族が悲しまないよう、こたとの縁を繋いでくれたように思えます。里親さん家族から「琥太郎くん」という新しい名前をもらったこた。虹の橋を渡った先住犬と同じく、末長く優しい家族の一員であってほしいと心から願います。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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