「1カ月半も放置」マンションに置き去りで餓死寸前、倒れていた猫を保護 飼い主は黙って引っ越し行方不明…飼育放棄か
「マンションに置き去りにされ 1カ月半も放置され 餓死寸前で動けなくなった瀕死状態の猫をレスキューしました。
密室の中で暑さと極度の飢えと脱水から水を飲もうとして便器の横で倒れていました。」
8月31日、マンションの管理会社から「何も言わずに勝手に引っ越した住人の部屋に猫が置き去りにされている」と、大阪で活動する動物保護団体のNPO法人「アニマルレスキューたんぽぽ」(以下、たんぽぽ)にレスキュー依頼の連絡が入りました。すぐに現場にたんぽぽの代表・本田千晶さんが足を運ぶと、壮絶な光景を目の当たりにして息をのんだといいます。
■部屋には大量のお酒の空き缶と食べかす、脱いだままの服…便器の横に力尽きた猫が
「部屋の中はビールや酎ハイなど大量のお酒の空き缶と食べかす、脱いだままの服など汚い不潔な状態でした。猫は水を飲もうとしたのか、便器の横で力尽きて動けなくなっていました。発見時、全く動かず…死んでいるのかと思いましたが、何とか息をしていたんです。ただ尿も垂れ流しになり、下半身はドロドロで長毛の毛は全身毛玉がつながりとてつもない悪臭がしました」
訪れた現場は、飼い主が管理会社に退去することを告げずに引っ越してしまったという部屋。家賃が支払われず、管理会社が部屋を確認したところ、置き去りになった猫を発見したそうです。
部屋に入った本田さんは、瀕死の状態で倒れていた猫を急いで病院へ運びました。獣医からは「今日が山」と宣告。とにかく極度の脱水を改善させることを優先しながら、血管からの点滴やインターフェロン治療、抗生剤の投与、そして全身につながる毛玉や下半身のふん尿まみれの毛玉をはさみで切っていきました。最後に流動食を少しずつ飲ませて皮下からも点滴…治療を尽くしても、猫の瞳孔はずっと開いたまま、手足は突っ張りかなり危険な状態でした。
その日の“山”は抜けましたが、今も自力で立つことも顔を上げることさえもできないという猫。頭部のけがの痕やお腹の膨らみも見つかり、殴られた可能性もあるとか。現在は、密室に置き去りにされ極度の脱水と飢えと暑さなどから脳障害を起こしていたため、容態が急変する可能性もあり酸素室で治療を続けているそうです。
■保護団体「ペットを置き去りにする行為は、故意に餓死させる気だったことは明らか」
また、猫が置き去りになった部屋には飼い主が飲食したと思われる酒の空き缶や食べ残しなどは落ちていたものの猫用のフードやグッズなどは一切なく、「飼い主が住んでいた時から飼育放棄をしていたことは明らか」と本田さんは訴えます。
「飼い主がいないと生きていけないこと、それ以前に水分やご飯がないと死ぬことは飼い主は当然、分かっているはず。それで置き去りにする行為は故意に餓死させる気だったことは明らか。熱中症になることも当然分かることで、死んでも構わないと思っていたのでしょう。この子に愛情のかけらもない非人道的な行為です。それが平気でできる飼い主だからこそ一緒にいる時から世話もせず飼育放棄をしていたのだと思われます。
このようなことがあるたび、私たちは保護するだけではダメだと感じます。飼い主の尻拭いだけにならず必ず警察に通報して事件として扱ってもらえるよう働きかけ、また警察も動物の案件だと軽く見ず先の事件の抑止と思い動いてほしいです。なので、私たちも管理会社に部屋を現状維持してもらうほか、飼い主の本籍など情報を警察に提供していただいて虐待事件として立件できるよう動いています」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)