控えめ性格の子犬 保護から正式譲渡まで1年5カ月 優しい里親さんと出会うための成長の時間だったんだね
2023年1月、複数の子犬が静岡県内の保護施設に収容されました。
大半の子犬たちはヤンチャに過ごしていましたが、奥のほうで固まり、特に人間とは絶対に目を合わさないワンコがいました。
後につけられた名前は「らい」。地元の保護団体・スリール~犬達の幸せ探し~は、保護施設に「1匹だけ固まる『女の子』のらいを引き出したい」と申し出て、連れて帰りました。
■穏やかな様子からメスだと思ったが、オスだった
保護施設から引き出した際も、らいはガチガチに固まりいっさい目を合わせようとしてくれません。
「大丈夫だよ、怖くないからね。それにらいちゃんみたいな『美人さん』なら、きっとすぐ幸せを掴むことができるよ」と団体メンバーは声をかけ、預かりボランティアさんの家で体を洗ってあげることにしました。しかし、ここで分かったのが、らいがメスではなくオスだったということ。
さらにオスらしさを感じさせない穏やかな性格のようにも映りました。あまりの怖さにお漏らししてしまう場面も度々あり、繊細なハートの持ち主のようにも思われましたが、後にはこの推測も見事に覆すのでした。
■人前ではおとなしく過ごすものの、他のワンコの前では一変
確かに極度のビビリな性格ではありましたが、元野犬らしく他のワンコとのコミュニケーションはバッチリ。犬とのワンワンプロレスではうれしそうに激しく立ち回り、普段とはまるで違う様子を見せる場面も。
馴れない人が近くにいると、ガチガチに固まるらいでしたが、リラックスすると周囲を気にせず大あくび。普段のビビリぶりとは真逆のマイペースぶりがまた、なんともかわいらしく、多くの人を和ませるワンコでした。
■保護から約1年5カ月後、ついに幸せをゲット
程なくして里親募集がスタートしたらいは、団体主催の譲渡会に毎度参加。
2024年春に開催された譲渡会で、優しい里親希望者さんと出会い、この家で一定期間のトライアルを実施することになりました。保護当初に比べれば人馴れが進んだらいですが、やはり初めての家とあって少々緊張気味。しかし、この里親希望者さんが以前飼っていたワンコは、さらに上を行くビビリさんだったようで、緊張気味のらいを見てもヘッチャラ。
この優しい里親希望者さんを前に、「緊張しても仕方ないかも?」とばかりにらいが心を開き始め、笑顔を見せるようになりました。
この優しい里親さんがらいの「本当の家族」となり、第二の犬生の一歩を踏み出すことになりました。
保護から正式譲渡までにかかった時間は約1年5カ月。預かりボランティアさんは、「過去最長のお世話だった」と振り返りながらも、こんなに優しい里親さんと出会うための成長の時間だったのではと思いました。
現在、らいはさらに里親さんに懐き、幸せいっぱいの日々を送っているそうです。かつては超ビビリだったらい。さらにビビリを克服し、誰の前でも笑顔の絶えないらいらしい犬生を歩んで行ってね。
(まいどなニュース特約・松田 義人)