アシカのオスはなぜ交尾を続けられるのか 生き物たちの「性の神秘」 夜間営業で大人モードのサンシャイン水族館「帰ってきた♡性いっぱい展」

2019年から3回開催され、累計9万人が生き物のディープな性の神秘について楽しく学べる大人企画『性いっぱい展』が3年ぶりに『帰ってきた♡性いっぱい展』としてサンシャイン水族館で復活しました。動物の性をテーマにした展示は、さまざまな目的で訪れる人がいる水族館では扱いにくく、長年実現できませんでした。しかし、サンシャイン水族館では命をつなぎ続ける生き物たちの「性」の世界の多様性を伝えることの重要性を感じていて、閉館後の夜間特別営業という昼間の水族館とは異なるコンセプトで実現したのです。

『帰ってきた♡性いっぱい展』は、常設展の場所で特別に夜間営業し、生き物の繁殖行動や求愛行動、生殖器と人間との違いを、人間の文化になぞられて展示しています。昼間の営業時間は9時半から18時までですが、閉館後のわずか15分の間に照明を怪しい色に変更し、生き物の性に関する展示物やパネルを設置します。過去には実寸大のシロナガスクジラの巨大な陰茎模型やさまざまな生き物の陰茎模型をスタッフが手作りするなど、サンシャイン水族館のスタッフも精一杯頑張ってきました。今回は陰茎模型に加え、魚の浮袋や羊の腸から作ったコンドームの展示もあります。

さらに、体験型コンテンツも充実しています。「おさわりBOX」では触れるまで中身が分からずちょっとドキドキしますし、「もみもみBOX」では生き物のアレの硬さを体感できます。また、動物の繁殖行動をこっそりのぞける「のぞき部屋」も用意。自分がどのタイプの生き物に当てはまるかがわかる『性』診断や、生き物の“珍”体位絵図、たくさんのクラゲが泳ぐ姿をバックに撮影できるフォトスポットなど、夜間特別営業でしか味わえないイベントが盛りだくさんです。

声優・歌手の西山宏太朗さんによる音声ガイドやオリジナルのコンドームやアクリルキーホルダーなどのグッズ、タリーズコーヒーとコラボしたコラボドリンクなどもあり、性いっぱい展をいっぱい楽しめます。屋外エリアのペンギンやアザラシ、アシカなどはおやすみタイムのため姿を見ることが難しいかもしれませんが、昼間営業している常設展示の生き物たちの多くは見ることができます。

■DNA検査でしか雌雄判別できないペンギン

魚類担当の飼育スタッフ、靍見綾さんは、「生き物たちにとって大切なのは、食べること、食べられないこと、子孫を残すことであり、子孫を残す方法は実にさまざまです。例えばクマノミはオスとして成熟すると、群れの中で一番体の大きい個体がメスへと性転換します。そのメスがいなくなった場合は、2番目に大きいオスがメスへと性転換するのです。また、アメフラシは動きが遅く繁殖相手に出会うのが難しいため雌雄同体といって体の中にオスとメスの機能を備えています」と、生き物の性の多様性について語りました。

また、海獣担当の飼育スタッフ渡邉果南さんは、「ペンギンのオスはペニスがないため、血液を採取してDNA検査で判別しています。オスは意中のメスを見つけると大きな声を出してアピールしてスキンシップして愛を深めてついに繁殖行動をするのです。フンやオシッコ、卵、精子を排出する総排泄腔という穴を合わせることにより精子を流し込むのですが、安定しない背中の上でピンポイントに総排泄腔を合わせるのは至難の技なのです」と説明してくれました。

その他、以下のような生き物たちの求愛行動、繁殖行動も紹介します。

・精子の先端にかえしがあり刺さると激痛の精子入りカプセルをメスに渡すイカ

・岩にくっついて動くことができないため生殖器の長さが動物界で最大級である体長の8倍もの長さを持つフジツボ

・普段は海底で穏やかに暮らしているけれど、交尾となるとメスに噛みつき動きを封じるトラフザメ

・動物のなかでもペニスに陰茎骨があり大きさもビッグで繁殖期には10匹のメスと交尾し続けるカリフォルニアアシカ

生き物たちの変わった求愛行動や繁殖行動を学びながら、家族や友人はもちろんのこと、パートナーと一緒に訪れると盛り上がりそうですね。

『帰ってきた♡性いっぱい展』はサンシャイン水族館で9月6日(金)から11月4日(月)、18時半~21時まで開催しています。料金は昼間営業の水族館と同じで大人2,600円~2,800円、こども1,300~1,400円、幼児800~900円、音声ガイド600円。

(まいどなニュース特約・鈴木 博之)

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