【虎に翼】桂場等一郎役・松山ケンイチ「僕自身、このドラマから“いただいた”」 役に向き合った1年、学んだ「認める」ことの大切さ
連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合ほか)が、来週いよいよ最終回を迎える。法曹である主人公・寅子(伊藤沙莉)にとって、常に羅針盤のような存在であり、終盤では立ちはだかる大きな壁となった桂場等一郎を演じた松山ケンイチが、インタビューに応じた。
■「役に対して、自分の理想みたいなものを込めてしまうところがあるんです」
松山は、約1年間向き合った桂場という役どころについてこう語る。
「長い間やらせていただいてますので、桂場は僕の中でもとても大切なキャラクターになりました。僕は結構、役に対して自分の理想みたいなものを込めてしまうところがあるんですね。まあ僕は、法曹界の人間でもないし、ただの田舎のおじさんなんですけれども。やっぱり『法や人権に対して、権力に対して、戦う人はこうであってほしいな』という僕なりの思いがあって。それがドラマのキャラクターにもかなり作用しているような気がします」
終盤では最高裁判所長官となった桂場という人物の葛藤について、松山はこう分析する。
「最高裁判所長官といっても、日本全国の全国民、ましてや地球全体を見渡すことができるわけではないんですよね。本当に人それぞれにいろんな苦しみだったり、喜びだったりがある。地域によって文化も全く違いますし、日本全国一律の法律を作るってものすごく難しいことだと思うんです。さらに、時代によってどんどん『正解』も『間違い』も変わってくる。そんな中で、ひとりの人間が最高裁判所長官になってジャッジをしていくって、本当に難しいことだなって僕は思うんです」
■「認めることの大切さーー。僕自身がこのドラマからいただいたことです」
また、『虎に翼』に登場する多種多様な人物と人間模様について、こう振り返る。
「人間ですから間違うのは当たり前だと思いますし、その間違いを『果たして本当に間違いなのだろうか』というところから、議論が始まっていくのだと思います。そんなことを『虎に翼』に登場するたくさんの登場人物を通じて、視聴者の皆さまに伝えようとしているのかなと。法律や裁判だけでなく、これもひとつのテーマなんじゃないかなと思って演じていました」
「『認める』って本当に大切なことだと思います。認めてからどう対峙して、付き合っていくのか。それを考えることがある意味、人権を大切にすることにつながるんじゃないかなと思います。これは、僕自身がこのドラマからいただいたことでもあります」
最終週の見どころを訊ねると、松山はこう語った。
「桂場は『司法の独立』という理想を実現させるために、人をどんどん切っていくような描写もありますが、重い話の中でも、現場ではすごく繊細に演じていたり、コミカルな描写があったりもします。さまざまなことが織り交ざった『人間讃歌』というか、人に対しての優しさみたいなものを感じられるドラマになっていると思いますので、ぜひ最後まで見届けていただければうれしいです」
(まいどなニュース特約・佐野 華英)