年収「2000万円以上」の勤務医が2割、仕事内容を考えると「年収額は妥当ではない」? 医療現場で渦巻く不満とは
労働人口の減少や物価高が進むなか、医療業界においても2024年6月に診療報酬改定が施行されました。この流れを受け、医師の給与にはどのような変化が起きているのでしょうか。株式会社エムステージ(東京都品川区)が実施した「賃上げ・年収」に関する調査によると、「年収2000万円以上」の勤務医が2割を超えた一方で、3割強の医師が「年収額は妥当ではない」と回答したことがわかりました。
調査は、同社が運営する求人サイト『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』の会員医師441人を対象として、2024年7月にインターネットで実施されました。
調査の結果、2024年6月に施行された診療報酬改定により、給与の賃上げが「すでに実施された」と回答した医師は3.4%、「これから実施される予定」と回答した医師は6.1%となり、診療報酬改定により実際に賃上げが実施される医師は全体の1割以下、さらに「実施される予定はない」(76.0%)は8割近くにのぼる結果となりました。
コメントでは「世の中は値上げラッシュですが、医療現場は全くその動きがない」(60代/勤務医)、「世の中は給料が増えていく一方で、医療従事者だけが減額で国が動いているのが不愉快」(50代/勤務医)といった意見が聞かれました。
そこで、「現在の年収」を教えてもらったところ、年収「2000万円以上」の勤務医が23.6%となった一方で、自身の働きぶりや貢献度に対して年収額が「妥当ではない」と回答した医師は23.4%、「どちらかといえば妥当ではない」と回答した医師が12.7%となり、合わせて36.1%の医師は年収に満足していないことが明らかとなりました。
回答者からは、「休日の大部分を潰しバイトをして、やっと2000万を超える」(60代/勤務医)という声が目立ちました。
また、約2人に1人の医師が、年収を上げることを目的に「転職を検討したことがある」(52.6%)と回答。
転職を検討したことがある95人のうち、転職によって「希望の年収を実現できた」と回答した医師は49.5%、「希望額ではないが、以前より年収が増えた」と回答した医師は45.3%となり、合わせて9割以上の医師が転職によって年収アップに成功していることがわかりました。
なお、実際に転職活動で年収が増えた90人のうち、89.6%が「年収交渉において転職エージェントを活用してよかった」と回答しており、転職エージェントの活用が年収交渉にプラスに働いていることがうかがえました。
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【出典】
▽株式会社エムステージ