河野デジタル相の「全ての納税者が確定申告する」政策案 税理士たちはどう見ていた?…「税負担が増えるケースが多発」8割強
自民党の河野太郎デジタル相は、9月5日の党総裁選に向けた政策発表記者会見で、「将来的に年末調整を廃止し、全ての納税者に確定申告をしてもらう案」を主張しました。支援が必要な人に迅速に対応するための「デジタルセーフティーネット」構築のためとしています。そのような政策案に対し、税理士事務所や企業経理で働く人たちはどのように感じていたでしょうか。
税理士の転職サービスを展開する株式会社人材ドラフト(東京都千代田区)が実施した調査結果によると、8割強が「税負担が増えるケースが多発する」と回答したことがわかりました。一方、本来の目的である「支援が必要な人への迅速なサポート」は、その実効性について評価が分かれる結果となったそうです。
調査は、同社の登録会員139人を対象として、2024年9月にインターネットで実施されました。
その結果、全納税者が確定申告を実施する場合、申告を忘れると各種控除が適用されなくなり、今よりも「税額が増えるケースが多発する」(84%)と予想する人が多いことがわかりました。
一方で、本来の目的である「支援が必要な人への迅速なサポート」では、「サポートできると思う」が42%、「できるとは思わない」が50%と、その実効性について評価が分かれる結果となっています。
また、「全納税者の確定申告化」を実施した場合については、「企業の経理部門の業務負荷が高まり、混乱が発生する」(72%)と想定する人が7割にのぼりました。
こうした点を踏まえて、「本政策を行うべき」と回答したのは36%に留まり、会計業界としても慎重な姿勢を取っていることがうかがえました。
なお、仮に実施する場合でも、「十分な移行期間を設ける」「会社員への啓蒙活動を行う」「確定申告が完了していない人へ自動通知を行い、適用できる控除がないかマイナポータル上で提案する」などの取り組みが必要という意見が多くみられたそうです。