「この子は育たないかもしれない」不安の中、懸命に支えた家族の愛 台風の日、母猫に置き去りにされた子猫は甘えん坊に

台風のあと、母猫に置き去りにされ、ひとりぼっちでいるところを保護された寿々(すず)ちゃん。一時は命の危険に直面した瞬間もありました。懸命に生きようとする寿々ちゃんとそれを支えた飼い主さん、その背景にはどのような経緯があったのでしょうか?

X(旧Twitter)ユーザーの飼い主さん(@hogonekosuzu)が寿々ちゃんと出会ったのは、2022年9月16日のこと。台風が接近する中、飼い主さんの実家近くで野良猫が6匹の子猫を産みました。翌日、母猫はどこかへ消えてしまい、1匹だけ取り残された子猫を近所の人が保護。それが、寿々ちゃんでした。

その後、ミルクボランティアとして活動している飼い主さんの両親に迎え入れられた寿々ちゃん。まだ目も開いておらず、十分にミルクを飲むことができないほど弱っていました。「両親は『この子は育たないかもしれない』という不安に駆られながら、懸命にお世話を続けました」と、飼い主さんは振り返ります。幸い、寿々ちゃんは、少しずつ元気を取り戻し、成長していきました。

■「また猫と暮らしたい」飼い主さんと暮らし始めた寿々ちゃん

当時、飼い主さんはすでに実家を離れて一人暮らしをしていたため、寿々ちゃんとは距離がありましたが、両親からの報告でその成長を見守っていたそうです。そうして、寿々ちゃんが保護されてから1カ月後、事態は急展開を迎えることに。寿々ちゃんの兄弟猫5匹も保護され、両親のもとへやって来たのです。

しかし、すでに実家には5匹の先住猫がいたため、新たに猫を迎えることは難しい状況でした。両親から子猫の里親を探すことにしたと報告を受けた飼い主さんは、長らく猫とのご縁を探していたことから「このチャンスを逃したらもう猫をお迎えできないかもしれない。これは運命だ!」と感じ、子猫の里親になることを決意。早速、実家に連絡をすると、兄弟猫たちはまだ健康状態が安定しないため、寿々ちゃんを迎え入れることになりました。

こうして、寿々ちゃんは生後2カ月になったとき、飼い主さんのおうちへ。当初は、元気いっぱいに部屋中を走り回り、高いところにもひょいっと登って飼い主さんを心配させることもありましたが、少しずつ、新しい生活にも慣れていきました。そんなある日、寿々ちゃんと飼い主さんの絆が深まる出来事が起こります。

それは、寿々ちゃんが避妊手術を終えて退院する日、飼い主さんが動物病院へ迎えに行ったときのこと。「寿々ちゃん!」と飼い主さんから名前を呼ばれると、大きな鳴き声を上げながらそばへやって来たのです。ケージから出た寿々ちゃんは、すぐ飼い主さんに抱きつきました。「寿々が私を飼い主として認めてくれたのだと感じました」と、飼い主さんは振り返ります。寿々ちゃんと飼い主さんが、お互いに大切な存在であることを確かめ合った瞬間でした。

■おしゃべりが得意な寿々ちゃん、お気に入りの“遊び”とは?

2歳になった寿々ちゃんは、ちょっぴりお姫様気質で、甘えん坊な女の子になりました。飼い主さんが仕事へ行く前や帰宅後は“甘えん坊タイム”がスタート! 膝上に乗ってくつろいだり、「撫でて」とアピールしたりします。そして、おしゃべり上手な一面も。「とてもよく鳴く子で、名前を呼ぶと返事をするのはもちろん、話しかけると返事をしてくれます」と飼い主さんは教えてくれました。

また、寿々ちゃんは、飼い主さんと遊ぶのも大好き! 最近、気に入っている遊びは「ゴム投げ」。飼い主さんがおもちゃのゴムを投げると、寿々ちゃんはそれを口にくわえて飼い主さんのもとへ持って来ます。「ゴムを口にくわえてルンルンと楽しそうに走ってくる姿がとてもかわいいです。ゴムを真上に投げると飛び上がって前足でキャッチするのですが、あまりにも高く飛ぶので驚くことがあります」と、飼い主さんもまた寿々ちゃんと過ごす時間を楽しんでいるようです。

時には甘えん坊、時にはやんちゃな一面を見せる寿々ちゃんの存在は、飼い主さんの生活に豊かさと喜びをもたらしています。これからも二人三脚で歩んでいく中で、さらに寿々ちゃんと飼い主さんの絆は深まることでしょう。

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)

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