分かっているのにあえて逆行動 クセ強ドーベルマン 「褒めまくり作戦」で心の扉が開き始めた
体重約30kgの大型犬で、凛々しいルックスのメスのドーベルマン・ピンシャー、ビスコッティ。
元々は集合住宅で一人暮らしをする男性に飼われていたワンコですが、後に男性が犬アレルギーを発症。飼いきれなくなったところで、手放すことにしました。
男性がビスコッティを持ち込んだ動物保護団体、Delacroix Dog Ranchでは原則的に、元飼い主からの犬猫の引き取りは行っていません。しかし、ビスコッティは「男性の病気が理由で行き場を失ったこと」、そして「特殊犬種で慎重に接するべきだったこと」などを考慮し、特例として引き取ることにしました。
■聞こえているはずなのに、あえて逆の行動をとることも
ビスコッティは、団体メンバーもそう多くは経験がないドーベルマンの保護犬です。
保護当初は警戒しながらお世話をすることにしましたが、ビスコッティはおおむね大らかで明るく性格の良いワンコでした。
ただし、かなりの賢さも兼ね備えている一方、元飼い主のもとでは「独学のしつけ」が行われたようで、当初人間の言うことをなかなか聞いてくれませんでした。
団体メンバーの指示や要求を理解しているはずなのに、あえて逆の行動を取ることも。ビスコッティは少しクセのある性格の持ち主でもありました。
■大暴れを叱るとエスカレートすることも
また、この大きな図体で、他のワンコに全身でワンプロを仕掛けたり、散歩中のあるタイミングでスイッチが入ると、リードに噛みつき大暴れすることも。その度に注意しても、ビスコッティは叱られることが大の苦手。大暴れがエスカレートすることもしばしばありました。
団体メンバーは頭を抱えましたが、ここで出した答えは「褒めて、褒めて、褒めまくり作戦」。賢く、誇り高いビスコッティに叱ることをヤメ、褒め続けることで信頼関係を構築。そこから少しずつ人間の指示に従わせるトレーニングを実施することにしました。
■少しずつ耳を傾けてくれるようになった
「褒めまくり作戦」は奏功し、ビスコッティは少しずつ人間の指示に耳を傾けてくれるようになりました。まだ完全に従順な姿勢を見せているわけではないものの、これだけでも立派な進歩です。
程なくしてビスコッティの里親募集を開始することに加え、引き続き念入りなトレーニングをしていくことにしました。
■譲渡条件の一つが「脱走対策を2重3重にできるお家」
仮に新しいお家が見つかったとしても、これだけ賢くクセ強めのビスコッティなので、団体ではいくつか厳しい譲渡条件を出しています。
そのうちの一つが、「脱走・逃走対策を2重・3重に講じられること」。仮に脱走すれば、ビスコッティ自身に危険が及ぶだけでなく、その大きな体で人間にも突する可能性もないとは言えないかからです。
多くの保護犬は1日も早く第二の犬生に繋げたいところですが、ビスコッティはこれもまた特例。近年たびたび報道される「脱走ワンコ事件」の二の舞にならぬよう、団体ではビスコッティの譲渡先を厳しく見極め、慌てず慎重に「幸せな犬生」に繋げられることを目指しています。
(まいどなニュース特約・松田 義人)