「やっとここまで直したのに…」豪雨被害の能登の棚田、 地震から手作業で復旧→豪雨で田んぼ崩れ「地震の時よりショック大きい」

石川・能登地方を襲った記録的豪雨から10日。石川県輪島市の棚田「白米千枚田」では、用水が吹き出して田んぼが崩れるなど、大きな被害が判明した。日本海に面した約4ヘクタールの斜面に、1004枚の小さな田んぼが並ぶ。管理するメンバーは「地震で亀裂が入った田んぼをやっとここまで直してきたのに」とやりきれなさを語る。

■棚田の約8割が被害

地元の農家ら約30人でつくる「白米千枚田愛耕会」で管理し、平均年齢は70代。メンバーのほとんどが能登半島地震で家を失い、半数が約100キロ離れた金沢市の避難所やみなし仮設住宅から通うなどして、復旧作業に取り組んできた。

「最初は田んぼに亀裂が入っているだけに見えていたんですが…実際は土の中にひび割れがあちこち入っていて。ひび割れで水が漏れたり、地面がずれて高低差が出て水平に水を張れなかったり…水を張ってみないと分からない被害がたくさんありました」とメンバーの堂下真紀子さん(41)。棚田の約8割が被害を受けたという。

それでも、メンバーたちは前向きに作業に取り組んだ。亀裂部分を土で埋め、高低差がある部分は土を移動し、一枚の田んぼの中に畦を作って二分割するなど、手作業で地道に修繕。修繕費捻出のためクラウドファンディングを行うと、1855万円が集まるなど、全国から支援の声が集まった。

そして5月、復旧した120枚にボランティアらと一緒に田植えを行い、9月12日には震災後初となる収穫を終えたばかりだった。

■「みんな言葉にせんけど…」

豪雨の21日、堂下さんは棚田の様子をXに投稿し、こう思いを綴っている。「ありとあらゆる所から用水が噴き出して、田んぼが水で溢れてしまっています。山も大きく崩れて田んぼに覆い被さっています。みんなでコツコツ積み上げてきたのに。地震の時よりショックが大きいです」。愛好会のメンバーについては「みんな、言葉にせんけど、複雑な気持ちがあると思いますよ。気丈に作業はしていますが」とおもんぱかった。

現在、国が棚田の被害状況を調べている段階で、まだまだ先は見えないという。「今は9月に収穫したお米の脱穀に取り掛かっています。とりあえず、目も前のやるべきことから…やるしかないです」

(まいどなニュース・山脇 未菜美)

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