飼い主が亡くなった小型犬2匹…元気で可愛いのに、里親が見つからない理由とは?保護主「個性とケアに理解を」
石橋健一さんが運営する「ペットを売らないペットショップBATON」で、新しい家族を探している2匹の保護犬、アイちゃん(12歳・メス)とラブちゃん(10歳・メス)。
彼女たちは、2022年6月に石橋さんのもとにやって来ました。これまで彼女たちの面倒を見ていたのは、一人暮らしだった人だったが、オーナーは他界。約1年間、身内が通いで世話を続けていましたが、最終的に自宅を手放すことになり、行き先を探していたところ、石橋さんに相談が寄せられました。
■出会いと新しい環境
石橋さんが初めてアイちゃんとラブちゃんに出会った時、彼女たちにはそれぞれ異なる印象がありました。アイちゃんはベッドから動かず、とても大人しい様子。一方、ラブちゃんは人懐っこく、しっぽを振りながら接してくれたといいます。
「ショップにやって来た初日は、少し戸惑った様子でした。『ここはどこ?』といった感じで、2匹は寄り添って不安そうに見えました。しかし、フリースペースに出してあげると、次第にリラックスし、辺りの匂いを嗅ぎながら、楽しそうに散策を始めました」。その姿は、緊張しているというより、新しい冒険に胸を躍らせているかのようでした。
アイちゃんは、知らない人に対して警戒心が強く、全力で吠えてしまうことがありますが、心を開くと驚くほど甘えん坊になる性格です。抱っこをせがんでくる姿は心を許した証のようで、その信頼関係を築くまでには数ヶ月かかることもあるそうです。
反対に、ラブちゃんは初対面でもすぐにフレンドリーに接することができる子です。撫でられるのが大好きで、すぐにお腹を見せてくれる癒し系。誰に対しても優しく、愛情深い性格が魅力です。
アイちゃんもラブちゃんも、オヤツが大好きで、フリースペースの散策が日々の楽しみ。彼女たちはマイペースな一面を持ち、自由に歩き回る時間を何よりも大切にしています。その姿を見ていると、年齢を感じさせないほど元気で、穏やかな日常を楽しんでいるのが分かります。
■里親が見つからない理由、今も家族を探して
アイちゃんとラブちゃんが新しい家族に出会うのが難しい理由の一つに、彼女たちのケアが挙げられます。実は、アイちゃんもラブちゃんもドライアイの状態で、理想的には毎日数回の点眼が必要です。
「どちらも点眼が苦手で、特にアイちゃんは、関係性がしっかり築ける前に無理に点眼を行うと怒ってしまいます。この点眼ケアが負担に感じられることが、里親候補の方々がためらう要因になっています。過去に何度かトライアルに出たことがありましたが、アイちゃんとの信頼関係を構築する前に焦ってしまう方が多く、なかなかうまくいかないこともありました」
また、小さな子どもがいる家庭では、アイちゃんやラブちゃんとの距離感を上手に取るのが難しく、子どもとの関係性が問題となることもあります。
もう一つの要因として、石橋さんがアイちゃんとラブちゃんを一緒に引き取ってくれる家庭を探している点も挙げられます。石橋さんは「これまで一緒に暮らしてきた2匹を離したくない」との強い思いがあり、2頭一緒に迎えてくれる里親を求めていますが、この条件がさらに里親候補を限定してしまう要素となっています。
また、見た目は子犬のように愛らしいですが、実年齢が12歳と10歳と高齢であることも、新しい家族を見つける上でのハードルになっているようです。
これまでの生活を共に乗り越えてきたアイちゃんとラブちゃんが、今後も安心して暮らせる新しい家族に出会う日が来ることを、石橋さんは心から願っています。彼女たちの個性とケアの必要性を理解し、愛情を注いでくれる優しい家族との出会いが、一日も早く訪れることを祈っています。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)