ひとり親家庭の約半数「養育費を一度も受け取っていない」…「相手が支払いを拒否」「相手が経済的に不安定」

ひとり親家庭を対象としたフードバンク事業『グッドごはん』を運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(東京都大田区)は、このほど「養育費の受け取り状況等」に関する調査結果を発表しました。同調査によると、ひとり親家庭の約半数が「養育費を一度も受け取っていない」ことがわかりました。養育費を継続的に受け取っていない理由にはどのようなことがあったのでしょうか。

調査は、首都圏(主に東京・神奈川・埼玉・千葉)、近畿圏(主に大阪・京都・兵庫・奈良)、九州圏(主に佐賀・福岡)に居住し、同事業を利用する10~60代以上のひとり親1481人(「ひとり親家庭等医療費受給者証」を有する保護者)を対象として、2024年8月にインターネットで実施されました。

その結果、養育費を「一度も受け取っていない」(50.3%)と答えた人は半数に及び、「きまった金額を毎月不足なく受け取っている」人はわずか19.6%にとどまりました。

また、「養育費を継続的に受け取っていない理由」としては、「相手が支払いを拒否している」(23.7%)、「離別当初から相手が経済的に不安定」(22.5%)、「相手から身体的/精神的暴力やハラスメントを受けていたことから、相手と関わりたくない」(16.5%)、「相手が行方不明になった・一方的に連絡を途絶えさせた」(14.3%)などが上位に挙がりました。

続けて、「相手と養育費の取り決め」について聞いたところ、「取り決めをしていない」が50.5%、「養育費を支払うよう自分から直接相手に働きかけたことはない」が51.9%となりました。

また、「養育費の取り決めをしなかった理由」および「相手に直接支払いを働きかけたことがない理由」については、いずれも「相手から身体的/精神的暴力やハラスメントを受けていたことから、相手と関わりたくない(なかった)」(26.0%、32.2%)が最多となっています。

次に、「1カ月あたりの受け取り金額(子どもが複数人いる場合は合計額)」を教えてもらったところ、「月額1~5万円台」と回答した人が約6割でした。養育する20歳未満の子どもの人数別にみると、子ども1人あたりの受け取り金額が「月額1万円」にも満たない家庭もみられます。

さらに、現在受け取っている養育費の金額について、「子どもの教育や監護に必要な費用として少なすぎる」が41.7%、「やや少ない」は40.2%という結果になりました。

また、養育費の請求に向けての「法的な手続き」については、77.7%が「行ったことはない」と回答。その理由としては、「弁護士・司法書士等の費用を支払うことが難しい」(47.8%)、「手続きを行うための精神的負担が大きい」(47.0%)、「手続きを行うための時間的負担が大きい」(45.7%)などが上位に並びました。

一方、養育費請求にかかる法的手続きを行ったことがある268人のうち、76.2%が「手続き実施にあたり他者からのサポートを受けた」と回答し、法的な手続きを自力で行うことが困難な状況が推察されます。

なお、2024年5月に公布された民法等の一部を改正する法律において「法定養育費制度」が新設されたことを知っている人はわずか5.0%にとどまりました。

   ◇  ◇

調査を実施した同法人は、「子どもが養育費を受け取れずに貧困に陥ったり、教育や進学を諦めたりする事態が起きてしまえば、将来の可能性や選択肢が狭まり、貧困から抜け出せないまま大人になってしまうリスクが生じます。そのようにして次世代にも貧困が連鎖すれば、未来の社会に影響が及んでしまうため、養育費の未払いを一因とした子どもの貧困は各家庭の問題にとどまらず、社会全体で取り組むべき課題と言えます」と述べています。

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