危ない!線路と幹線道路の交差付近をさまようトイプー ぼろぼろの体といくつもの病気 ネグレクトの末に棄てられた?

2024年7月、福岡県みやま市にある高田陸橋付近で、意識朦朧でよろよろと彷徨うメスのトイプードルがいました。

付近は、線路と幹線道路が交差する場所。誤って線路に入ったり車道に出れば間違いなく事故に遭う危険がありました。なんとか捕獲し、後に「ふみちゃん」と名付けられ、福岡県動物愛護センターに収容されることとなりました。

■ネグレクトの末に棄てられた?

センター収容後しばらくの間、飼い主からの迎えを待ちましたが、一定期間を過ぎても名乗りはありませんでした。

ふみちゃんの体はボロボロで、お腹には乳腺腫瘍があり、肛門の周辺が腫れています。両目もあまり見えていない様子で、歯もボロボロ。全身毛玉だらけで悪臭を放っており、明らかにネグレクトの末に棄てられた様子でした。

ふみちゃんの存在を知ったボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねすでは迷わずセンターから引き出すことにし、保護した後に動物病院へと連れていきました。

■乳腺がん、子宮蓄膿症、いくつもの持病

動物病院での診断は「乳腺がん」「子宮蓄膿症」。この他にも、いくつもの持病がありました。こんな体になるまで満足な世話をせず、挙句まるで物を棄てるような飼い主の非道な行為に、飼い主への憤りとふみちゃんへの悲しみが入り混じる思いでした。

このままではふみちゃんの体が良くなるわけでもありません。団体メンバーは、ふみちゃんの持病をできるだけ改善できるよう手術・医療ケアをすることを決断。このまま看取ることになったとしても、せめて最期の日までたっぷりの愛情を注ぎ続けることを胸に誓いました。

■里親募集の開始前に「迎え入れたい」の声

手術は無事成功。手術後も医療ケアを続けましたが、そんな矢先に、団体の元にある問い合わせがありました。「ふみちゃんを迎え入れたい」という里親希望者さんからの応募でした。

団体では当初、「ふみちゃんの里親募集は、体調がある程度落ち着いてから」と考えており、募集前にして応募があるとは到底想像していませんでした。

里親希望者さんは、これまでに団体からの保護犬を3匹迎え入れてくれたYさん。保護犬をよく理解し、そしてたっぷりの愛情を注いでくれる優しい方です。ふみちゃんは程なくしてYさんの家で医療ケアと合わせて、トライアルを実施することになりました。

ふみちゃんは保護当初、エサをあまり口にしてくれませんでしたが、Yさんの家に迎えられてからはバクバク。程なくしてしっかり太ってくれました。

また、この家では新たに「ヒトミ婆さん」という名前をもらい、先住犬や先住猫とも仲良しになり、穏やかな表情を浮かべるようにもなりました。

まだ複数回の手術が残されており、Yさん宅への正式譲渡には至っていません。しかし、このまま順調に手術を終え、その後にすべき医療ケアなどが明確になったところで、Yさんが「ずっとの家族」になると思われます。

長生きは難しいかもしれません。それでも、団体の思いやYさんの愛情を受けて、ヒトミ婆さんがいっさいの不安のない穏やかな日々を送ってくれると良いなと思います。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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