【住宅ローン】直近10年間で繰上返済をした人は約2割 繰上返済を行うタイミングに変化あり

三井住友信託銀行株式会社(東京都千代田区)が運営する『三井住友トラスト・資産のミライ研究所』は、このほど「住まいと資産形成に関する意識と実態調査(2024年)」の結果を発表しました。同調査によると、直近10年間で「繰上返済をしたことがある」人は約2割であることがわかりました。また、2013年までの借入期間においては繰上返済のピークが「借入れから10年前後」であったのに対し、2014年以降の借入れでは明確なピークが見られなかったそうです。

調査は、全国の18~69歳(金融、調査、マスコミ、広告従事者を除く)の男女1万948人を対象として、2024年1月にインターネットで実施されました。

まず、「住宅ローンの繰上返済をしたことがある」と答えた割合を住宅ローン借入時期別にみると、1993年以前では64.4%、1994年~2003年では65.2%となった一方で、2004年~2013年では40.7%、2014年~2023年では20.5%と、借入時期が令和に近づくにつれて割合が徐々に減少していることがわかりました。

しかし、それだけでは借入期間が長くなるほど結果的に繰上返済をしたことがある人も増えるとも読めるため、「住宅ローンの繰上返済を行ったタイミング」について、住宅ローンを借り入れてから10年前後に注目。

その結果、1993年以前の借入れでは29.1%、1994年~2003年では34.5%、2004年~2013年では27.8%と、繰上返済をするピークがあり、その後は徐々に減少する“クジラ型”である一方で、2014年~2023年の借入れをみると、10年前後には大きなピークのない“ヒラメ型”であり、繰上返済に対する取り組み姿勢の明確な変化がうかがえました。

また、「住宅ローンの繰上返済をした理由」については、「元本をできるだけ減らし、残債にかかる利息をできるだけ減らしたかった」(04年~13年18.9%、14年~23年12.5%)、「元本をできるだけ早めに減らし、返済期間をできるだけ短縮したかった」(同18.5%、同10.9%)などで大きく減少していることがわかりました。

一方で、「できるだけ早めに完済し、資産運用に充てる資金を増やしたかったから」(~93年2.8%、04年~13年7.5%)の選択割合が増加しており、住宅ローンの返済と資産形成の両立を意識している層が増加していることがうかがえました。

最後に、「繰上返済の有無」と「ファイナンシャル・ウェルビーイング(※)」の関係について調べたところ、将来の生活設計や資金計画の検討をしたうえで、繰上返済をした人のウェルビーイング度は20.7%だったのに対して、繰上返済の経験がない人では16.1%と、繰上返済の経験がある人のほうが、より高いウェルビーイング度を示しました。

しかし、将来の生活設計や資金計画を検討せずに、繰上返済をした人では13.2%、繰上返済していない人では6.7%と、その効果が薄れることも明らかとなり、計画的な繰上返済がファイナンシャル・ウェルビーイング度の向上に影響することがわかりました。

(※)ファイナンシャル・ウェルビーイング:自らの経済状況を管理し、必要な選択をすることによって、現在及び将来にわたって、経済的な観点から一人ひとりが多様な幸せを実現し、安心感を得られている状態

   ◇  ◇

調査を実施した同社は、「繰上返済を行うことで、返済の負担感や将来支払う利息額の減少が期待できます。一方で、手元資金は減ってしまうので、繰上返済後にまとまった資金が必要となるイベントを想定している場合には慎重な検討が必要です。繰上返済に回したお金は、当然ながら取り戻すことはできませんので、『ライフプラン・マネープランの確認』と『繰上返済をすべきか否かの判断』をする二刀流の姿勢が大切です」と述べています。

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