ブリーダー崩壊の現場から助け出された子犬 頭には傷跡も… 最初は声も出なかったけれど「新しいおうち」でおしゃべりに

東京都在住のDさん一家が、ポムちゃん(メス・生後11ヶ月)を家族に迎えたのは2024年9月のことでした。ポムちゃんは、生後9ヶ月のときに埼玉県のシェルターに保護されました。彼女はブリーダー崩壊の現場からレスキューされたのですが、頭にはそのときについた傷痕が残っています。

Dさんの家族はもともと動物好きで、特に子どもたちは長い間犬を飼いたがっていたそうです。しかし、Dさんは仕事と子育てに追われ、その要望を受け入れる余裕がありませんでした。子どもたちが成長し、家族全員の準備が整ったことでようやく犬を迎えることに。譲渡サイトで見つけてお見合いに進んだのが、当時シェルターにいたポムちゃんでした。

「初めてポムを抱いたとき、あまりにも軽くて、あばら骨が浮き出た体に驚きました」

その姿は、過去の厳しい環境を物語っていました。お家に迎えた初日、ポムちゃんはとても大人しく、トイレで寝たりベッド代わりのタオルに粗相してしまったり。恐らく、シェルターでもトイレの上で寝起きしていたのではないか、とDさんは感じました。

そんなポムちゃんに、Dさんは「ポム」という名前をつけました。

「シェルターで担当者が近づくたびに、ピョンピョン飛び跳ねて喜ぶ姿が可愛らしく、語感の良さからその名前に決まめました。Pomme(ポム)はフランス語で『りんご』を意味し、知恵の実や誰からも愛される実や花を表す言葉でもあります。その意味にふさわしい、愛される存在になるようにとの願いも込めています。」

現在のポムちゃんは、保護当初の大人しい様子が嘘のように、のびのびとした日々を過ごしています。以前はほとんど声を出さなかった彼女も、今では様々な声で感情を表現するようになり、表情も豊かになりました。

Dさんの家では、ポムちゃんが笑っているような姿を見るたびに家族みんなが笑顔になっています。最近ではお腹を撫でさせてくれたり、リビングでひとり運動会をするなど元気いっぱいです。

ポムちゃんが家族になってから、Dさん一家の生活にも変化が訪れました。家族全員が早寝早起きになり、Dさん自身もスマホゲームに費やす時間がなくなったそうです。しかし、それ以上に大きな変化は、家族全員で過ごす時間が増え、ポムちゃんのお世話や日常の様子について語り合うことが増えたこと。リビングに集まる時間が長くなり、家族の絆が深まったのは、ポムちゃんがもたらしてくれた大きな幸せです。

これからも、ポムちゃんはDさん家族にたくさんの笑顔を届け続けることでしょう。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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