「規格がもたらすメリット考えて」“規格外”もてはやす風潮に一石投じた農家
フードロス削減のために近年注目されている規格外農作物の活用。しかし安易に規格を外れたものをもてはやすことに問題はないのだろうか。
今SNS上で大きな注目を集めているのは農家を営むSITO.さん(@IaaIto)の
「規格外農産物を『品質や味は問題ない』と定義しているWebサイトを発見したので農家の皆様、このポストに業腹とは思いますが『規格外農産物』の写真をぶら下げて頂けませんか」
という投稿。
一般人はスーパーなどで「訳あり」「B級品」などとして安価に売られているものが「規格外」だと思うかもしれない。しかし多くの農家にとって規格外とはサイズに過不足があったり鳥や虫に食われていたり割れていたり…個人的に食べる程度ならまだしも、大量に流通させ消費者の手元に渡るまでを考えると、とても出荷することができないものを指すのだ。
SITO.さんにお話を聞いた。
--「規格外でも問題ない」といった主張へのご意見をお聞かせください。
SITO.:規格外に対する一般の消費者の方々のイメージと実際はかなり乖離していることがうかがえます。流通に乗った農産物が、高い品質のまま消費者の皆様に届くための「ルール」が規格の存在意義の一つだと考えています。「高い品質=規格内品」ですので、生産者の我々としても規格外品が注目されることは正直全然うれしくありません。
--投稿への反響について。
SITO.:規格外へのイメージの乖離があるからこそ今回反響があったのだと思います。なんのために規格があり、規格というものが私たち国民にどのようなメリットをもたらしてくれているのか、それらを考えるきっかけとなれば幸いです。
◇ ◇
SNSユーザー達から数々の驚きの声、共感の声や規格外農作物の写真が寄せられた今回の投稿。安全で美味しい農作物を日本全国に流通させる上で、なぜ規格が必要なのか今一度思いを致したいものだ。
なお今回の話題を提供してくれたSITO.さんは日々、Xやブログ「あるのは探究心」で農業や農業を取り巻く環境について情報発信している。特に「【知識】#10 もったいない?フードロスと規格外」という記事では今回紹介したテーマについても詳しく言及しているので、ご興味ある方はぜひご一読いただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)