逃げられないほど衰弱した子猫…「このままでは死んでしまう!」と保護 癒着した片目は完治せず…でも元気いっぱいに成長
宮城県に住むともみさんは、2023年10月2日、運命的な出会いをしました。
その日、買い物帰りにいつもの道を歩いていると、一軒家の敷地内で母猫と2匹の子猫がいました。白黒の子猫だけがその場に留まり、動けない様子で弱っていました。近づいてみると母猫と三毛の子猫はすぐその場から逃げましたが、白黒の子猫はその場から全く動こうとしませんでした。
「今振り返ると、逃げたくても動けなかったのです」
ともみさんは「体調悪そうな子猫がいるので、保護してもよいですか?」と、その家の人に尋ねました。
「驚くことに、その方は『元気だから大丈夫!保護したかったらしてもいいよ』と返事をしました。明らかに普通の状態ではなかったため憤りを感じましたが、このままでは死んでしまうと思い保護を決意しました」
保護した子猫、名付けて「つき」は、保護当時わずか1カ月半。目は目やにで塞がり、逃げる力すら失っていました。命を救うためにすぐに病院へ向かいました。
「体重は400gと非常に細かったため、シリンジでの授乳が必要でした。自力で食べられないつきの世話をしながら、毎日の不安と向き合いました。つきの目は癒着していて右目はなんとか治療で回復しましたが、左目は残念ながら治ることはありませんでした」
保護したのが10月だったので、秋らしいイメージから「つき」という名前にしたそうです。
「病院で性別が分からないとのことだったので、男の子でも女の子でも可愛い名前だと思い命名しました」
保護から1カ月後、つきちゃんの姉妹である三毛猫「こむぎ」も保護され、現在はともみさんの実家で暮らしています。その後、そこの家の方が突然の入院となり、近所の優しい方が見かねて猫達のお世話をしてくれていました。生後6カ月の男の子3匹を保護し、今年春にそれぞれ新しい里親さんに譲渡することができたといいます。
つきちゃんは、今ではいたずら好きで元気な1歳の女の子に成長しました。小柄な体に甘えん坊な性格を持ち合わせており、膝の上に乗ることは少ないものの、自分の気の向いた時には甘えてきます。特に、撫でられるのが大好きで、ゴロンとお腹を見せて催促する姿は愛らしい限りです。
「つきがいない生活は考えられない!」と語るともみさん。つきちゃんの存在が家族のコミュニケーションを活発にし、毎日笑顔を届けてくれています。
「カリカリだけではなかなか体重が増えず、ウエットもあげるようになりましたが、最近は待ちきれず早い時だと朝4時頃に私の顔を舐めたり噛んだりして起こしにきます。おかげで私は寝不足気味ですが、それすらも愛おしく思います」
ともみさんは、つきちゃんのようにハンディキャップを抱える子や、命を落とす猫が生まれない社会を目指して、地域猫活動に取り組んでいます。ボランティアさんとの協力を得て、少しずつ改善を図っている様子は、彼女の愛情深さを物語っています。
つきちゃんとの出会いをきっかけに、家族の絆が深まり、地域猫たちへの思いも強くなったともみさん。人間と猫が共存できる未来を信じ、日々活動を続けています。彼女の願いが、少しずつでも実現することを願ってやみません。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)