古い仏壇を処分したいけど罪悪感が… 卓上サイズのミニ仏壇にリノベーションするのはいかが
自宅が手狭になった、あるいは住む人がいなくなった実家を売却するから仏壇を処分したいけれど、なんだか申し訳なくて心が痛む…。そんな悩みを解決すべく、仏壇製造業・有限会社稲垣塗装所が古い仏壇の部材を活用して卓上サイズのミニ仏壇にリノベーションするサービス「結壇(ゆいだん)」を始めた。仏壇処分の新しい形について、同社の稲垣亘佑(こうすけ)さんに聞いた。
■部材の一部利用からフルリノベーションまで3つのコースが用意されている
「結壇」は片手で持ち運べるくらいの小さい仏壇で、シンプルな外観は部屋の雰囲気を邪魔しない。
仏壇を処分する際は通常、菩提寺で魂抜きをしたあと粗大ごみとして廃棄するか、購入した仏壇店に引き取ってもらうのが一般的だった。しかし稲垣さんが顧客に聞き取りをすると、「先祖に申し訳ない」「寂しい」など、処分そのものに心を痛めるケースが少なくなかった。
「本音では『手放したくない』という気持ちがあるように感じました」
稲垣さんはそんな想いに応えようとミニ仏壇を発案。古い仏壇から部材を取り、四角型または丸背形の小さな仏壇にする。製作状態によっては、塗り直しなどの再加工もするそうだ。これに付属品オプションとして結壇専用のミニ位牌、おりんのセット、仏像、過去帳などを追加できるという。
「仏壇の一部分を使用する『梅』、古い仏壇のみを使用する『竹』、お客様からご希望の形状について詳しくヒアリングしてオリジナル仏壇を製造する『松』と、3つのコースを用意しています」
特に松コースは、古い仏壇のイメージを残しながらスケールダウンした仏壇を作ることもある。
参考までに、価格帯はいずれも税抜きで「梅コース」11万8000円から、「竹コース」16万8000円から、「松コース」29万8000円から、となっている。製作期間は「梅コース」で約1カ月、「松コース」で約3カ月かかるそうだ。
また、リノベーション後の形は必ずしも「仏壇」である必要はなく、希望する形をオーダーすることもできる。
例えば「自宅に仏壇を置きたくないというお客さんから、本棚に作り替えるオーダーをいただいたこともあります」。
製作中のため紹介できる画像はまだないそうだが、仏壇のパーツを使って文庫本が10冊程度入る2段の本棚になるように設計したという。
今後は同業者や職人さんと協業して、より多くのオーダーに応えられるようにしたいとのことだった。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)