休みの日まで仕事の質問攻めにウンザリ…熱心すぎる「働き過ぎ部下」どうすれば? やる気を損なわせずに距離を置く方法…社労士が指南

Aさんは社会人向けの研修をおこなう企業で働く会社員です。今年から主任になり、部下の指導を担当するようになりました。主任になって半年が経過し、Aさんは後輩の面倒見のいい上司として、社内でも評判です。直属の部長からも「よくやってくれている」と労われており、Aさんがいずれは管理職になるだろうと噂されています。

そんなAさんのもとに、中途採用で入社したBさんが配属されます。BさんはAさんより年齢が2つ上の男性で、この業界で働くのは初めてです。経験の浅さをカバーしようとBさんは熱心に仕事と向き合い、毎日遅くまで会社に残っています。ときには退勤処理をおこなった後にも会社に残り、自らサービス残業をするほどです。

さらにBさんはAさんを食事に誘い、居酒屋に到着すると同時にAさんに仕事の質問攻めもおこないます。この食事をきっかけに、Bさんは仕事終わりだけでなく休みの日までAさんを連れ出して、仕事の話をするようになるのでした。

Aさんは休日に仕事をしたくないと考えており、本当はBさんの休日質問を拒否したいもののBさんのやる気を削ぎたくありません。このようなときはどう対応したらいいのでしょうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに詳しく聞きました。

■熱心な社員に悩まされている会社は意外と多い

ーいくらでも残業したいという人にどう接すればいいのでしょうか

Bさんのような熱心な社員に悩まされている会社は意外と多いです。会社の指示がなかったとしても、自ら残業をおこなって仕事をしている以上、残業代を支払わないといけません。たとえ無断で残業していたとしても、それを会社が黙認しているとみなされるからです。近ごろでは就業時間外になると、強制的にパソコンや室内の電源を落として働けない環境を作る企業もありますが、それはBさんのような社員に対応するためです。

会社が禁止しているにも関わらず就業時間外に仕事を繰り返す社員は、就業規則に違反しているとして懲戒処分になる場合もあります。万が一その社員がケガをしたり病気になったりすれば、安全配慮義務を果たしていないとみなされ企業が責任を取らなければならないのです。

Aさんは、Bさんにこのような背景があることを丁寧に説明をして、就業時間内に成果を出すから評価されるということを理解してもらう必要があるでしょう。

ー休日にまで押しかけてくるような部下にはどのように伝えればいいでしょうか

Bさんの行動は、Aさんのプライベートを侵害しているといえるでしょう。よってAさんははっきりとBさんの申し出を断ったほうがいいです。仕事ばかりしていると柔軟な考えができなくなり、むしろ仕事に支障をきたすと伝えるのも上司の役割です。

ーセミナーや研修を勧めると業務扱いになるのでしょうか

業務扱いになるためには、強制性がなければなりません。仮にAさんが休日におこなわれているセミナーを勧めたとしても、そこには強制性はないので業務扱いにはなりません。貿易関係の仕事をしている人が就業時間外に自主的に英会話を習いに行っても、業務とはいえないわけです。

もしBさんの仕事に役立ちそうなセミナーや研修があれば、Aさんから勧めてあげるといいでしょう。Bさんのやる気を削がずに、彼の目をAさん以外に向けることができます。Bさんにとっても、セミナーで仕事に役立つことが学べるので満足でしょう。

◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士 大阪府茨木市を拠点に「良い職場環境作りの専門家」として活動。ラーメン愛好家としても知られ、「#ラーメン社労士」での投稿が人気。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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