古めの3階建て「マンションじゃなくてアパートでしょ?」ママ友の“失礼発言”にモヤモヤ 集合住宅の定義とは
日本には「マンション」「アパート」「コーポ」「レジデンス」など、集合住宅を指すさまざまな名前があります。それぞれにイメージする建物の特徴があるものの、その違いが思わぬママ友間のトラブルを引き起こすこともあるようです。
■建物名は「〇〇マンション」だからマンションですよね?!
Aさん(関西在住、30代、主婦)が結婚して新婚生活を過ごすことになったのは、古めの3階建ての集合住宅でした。外観はいかにも築年数が経っていそうで、1階の集合ポストのペンキの色や、共用廊下の照明のデザインなどに年代を感じます。しかし、室内に入ってみると、フローリングや壁紙、水回りの設備を交換したばかりとあって、ほかに内見をした物件よりも住みやすそう。少し安めの家賃というメリットにもひかれ、Aさん夫婦は2階の部屋を借りることにしました。
それから半年後に妊娠し、そのまま出産を迎えることになったAさんは、その後も同じ家で暮らしていました。エレベーターはありませんでしたが、階段の幅は広く、しっかり手すりもあったので、2階に住んでいても大きな問題を感じることがなかったのです。
そんなある日、産休中に児童館で知り合ったママ友たちの間で、思わぬことを言われます。一緒に集まって遊ばないかという話になったときのこと。
「ウチは〇〇中学校の隣の〇〇マンションなんだけど、2階でエレベーターもないから、ベビーカーでみんなが集まるのはちょっと難しいかも」と話したAさん。すると、あるママ友が驚いた様子でこう言いました。
「え?あそこってマンションって名前なの? どう見てもマンションじゃなくてアパートでしょ! めっちゃ古い建物だよね?」と笑いながら指摘をするのです。
不穏になった空気を察して、周囲のママ友たちはすかざさずフォロー。「建物にマンションって名前つけたのはAさんじゃないもんね?」「あの建物、前からすごく人気があって、全然空きが出ない優良物件って不動産屋さんから聞いたよ」…。しかし、Aさんの気持ちは複雑なままでした。
■他のママ友に愚痴ってスッキリ
後日、仲良しのママ友にこの話を相談。マンションじゃないって言われても、建物の名前つけたの私じゃないし!」と愚痴ると、ママ友はこう言ってくれました。
「そもそも『マンション』って、英語の『mansion』が語源で、もともと邸宅や屋敷って意味なの。日本での使い方とは少し違うから、名前はそんなに深く考えなくていいんじゃない?」
さらにそのママ友が続けます。「しかも、確かその人、近くの△△アパートに住んでるんでしょ? 自分もアパート住まいなのに、アパートに住んでいる人のことを悪く言うなんておかしいよね」と言われ、Aさんは少しスッキリ。
「次に何か言われたら、『そうなの、ウチはマンションなんだって。ところであなたは?戸建て?』って聞き返してやろう!」と笑い飛ばせるようになったそうです。
■マンション?アパート?実は法律的な定義はナシ
なんとなくマンション、アパートそれぞれのイメージはありますが、実はそれぞれに建築基準法や宅地建物取引業法などでの法律的な定義はありません。一般的には、2階建てまでの集合住宅や木造・軽量鉄骨造などの建物をアパートと呼称することが多いため、そのようなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
一方、国土交通省の各種資料では「鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の3階建て以上の集合住宅」のことをマンションとしています。つまり、Aさんの住む集合住宅は立派な「マンション」で間違いはありませんね。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)