「一生懸命 雪山を乗り越え乗り越えやってきた」迷い猫が家族になるまで…今は「ひとりでは寝れない」甘えん坊に
「一生懸命 雪山を乗り越え乗り越えやってきたたぬを見てほしい。(おすすめは0:25のぺちょ)」
吹雪の中、よろけそうになりながらも、一歩、一歩、家の窓まで近づいてくる猫さんの動画が「たぬ@雪の日にやって来た迷い猫」(@tanu_tyan)さん(以下、飼い主さん)の「X」アカウントの固定ポストとなっています。「たぬ」くんと名づけられたこの迷い猫さんが、家族の一員となるまでのお話を飼い主さんにお聞きしました。
■出会いは秋
固定ポストのたぬくんの動画は今から3年前の雪の日に撮影されたものですが、飼い主さんによると、実は最初の出会いは秋だったといいます。ちゅーるや猫じゃらしを購入し、姿を見かけたら気を引くところから関係を作っていったのだそう。
「秋口に初めで目撃した時は野良猫だと思っていました。ただ、その後何度か見かけるようになり、やはり長毛でしたので『どこかのお宅から逃げてしまって帰れなくなっている子だったら大変』と思い、とりあえず捕獲しようと思いました」
■捕獲チャンレンジ期間
「家に遊びにきてくれるように、人間が窓を開けても逃げないように、さらには家の中まで入ってくるように慣らすための数ヶ月間にわたる『捕獲チャレンジ期間』がありました。せっかくお家まで来てくれても「窓を開けるだけで逃げてしまったり、今一歩で捕まえられずにサヨナラーという日もあったので…」
固定ポストの動画は「捕獲チャレンジ期間」に撮影されたもので、お迎えしてから現在に至るまでの過程がツリーで投稿されています。
■「この子をもう一度外に出すことはできない」
「今も抱っこが嫌いで膝にも乗ってこない子なのですが、初めて捕まえた時は暖かかったのか人間のお腹の上で寝ました。(動画のように)これまで家に来た時に毛に雪が乗っている日もありましたし、きっと寒かったんだと思います」
やっとの思いで保護しましたが、もし飼い猫さんであれば元の飼い主さんに返さねばと警察や地域の保護団体や保健所に電話をしたものの、たぬくんを探している人は誰もいませんでした。そこで飼い主さんの家族はこの迷い猫を家族の一員として迎え入れる決意をします。
「お別れすることになる最期はきっと辛いけど、それでもこの子をもう一度外に出すことはできない、うちで一緒に暮らそうと家族会議をして、お迎えする覚悟を決めました」
■全身麻酔で固まった毛を丸刈り
しかしお迎えする、と決めてからも乗り越えていかなければいけないことがいくつもありました。
「噛んだり暴れたりはしなかったのですが、最初の1~2週間は『外に出たい、帰りたい』というように一晩中窓際で悲しそうに鳴いていたのでそれがとても心苦しく辛かったです」
お迎えした当初、たぬくんの外見は普通でしたが、毛の下は砂、ゴミ、葉っぱが絡まってガチガチに固まっていて、お尻の近くは糞も固まってしまっていたのだそう。そこで動物病院に連れて行き固まった毛を丸剃りすることになりました。その後、少しずつ少しずつ毛が生えて来て、現在のような立派なモフモフの毛並みの姿になりました。
「毛刈りは全身麻酔で去勢も同時にしたのでたぬ本人が頑張ったと思います。大きな怪我や病気がなかったおかげで今も元気に走り回っており、お外で本当によく生きてたね!!としみじみ思います」
■うちに来て幸せだと思ってもらいたい
お迎えして3年がすぎた今、つい先日も「『人間、あの、ひとりじゃ寝れないんですけど…』ってやってくる猫」という文言と共に「X」に投稿された、姿に11万を超える「いいね」がつくなど、すっかり甘えん坊さんになったたぬくん。
愛猫が心を開いてくれているな、と感じる瞬間は?と質問すると飼い主さんは「添い寝は絶対許さないタイプなのですが、先日初めてベッドの上で30分横になってくれて、ようやく心を開いてくれた…!と思いました(笑)。ただ、振り返って人間の顔を見た瞬間めっちゃ後ずさりしてベッドから降りていったのでまだまだのようです」と話してくれました。
さらに飼い主さんに現在、愛猫はご家族にとってどのような存在ですか、とお聞きすると「もううちにたぬがいる暮らしになってから3年も経つんだという気持ちです。あんな出会いだったのに、今普通にトコトコと家の中を歩いているのがたまに不思議な気持ちになります」といい、そのうえで「絶対にうちに来たことを幸せに思ってくれるように、甘やかし放題かわいがってこれからも一緒に過ごしていきたいと思います」と答えてくれました。ふしぎなめぐり合わせでお家に迎え入れられ迷い猫のたぬくん。これからもたぬくんとご家族のもとにたくさんの幸せが訪れるよう願わずにはいられませんね。
(まいどなニュース特約・山本 明)