ビネガードリンクの先駆者「はちみつ黒酢ダイエット」 若手社員を抜擢した起死回生策 それでも売れない理由は消費者と企業のギャップにあった
世界初の“粉末酢”「すしのこ」を生み出したタマノイ酢。その後発売され、飲むお酢ブームの火付け役となった「はちみつ黒酢ダイエット」はビネガードリンクで16年連続売上No.1の商品に!しかし、ヒットに至るまでには大変な苦労があったのです。
■1本の電話から始まった!「薄めなくても飲める黒酢ドリンク」開発
きっかけは、1本の苦情の電話でした。1990年代前半から販売していた黒酢商品「スーパー黒酢」について「毎回薄めるのが面倒くさい」と消費者から不満の声を受けます。「飲む人の自由な濃さに薄めて飲んでもらう」ように作られていた商品に対しての想定外の意見でした。
当時タマノイ酢は健康ドリンクブームに乗っかり、お酢とは関係のない様々な清涼飲料水を手掛けていました。しかし、販売した19種類の商品はいずれも失敗…。
そんな状況の中でかかってきたクレームの電話。これを受け、専門外のジャンルの商品を作るのではなく、「薄めずに飲める黒酢ドリンク」の開発が、20回目の挑戦として立ち上がることになったのです。
■新商品を成功に導いた、普通の企業ではありえない驚きの方法とは...!?
この新たな挑戦で、当時の社長・播野勤は思い切った決断を下します。なんと開発の中心に入社2年目の若手女性社員を据えたのです。当時、ベテランの社員はどちらかというとその商品を開発すること自体に反対する空気があった中、経験が浅い分、自由な発想が生まれやすい若いメンバーを活かす方針を取りました。
そして、早速若手の起用が機能します。「黒酢を水で薄めるのではなく、果汁で割ってみたらどうか」と提案。果汁によって黒酢独特のツーンとした風味が和らぎ、飲みやすくなると考えたのです。
数十種類もの果汁を試した結果、「りんご果汁」が黒酢と合うことが判明。さらに甘味として「蜂蜜」を加えることに。すると酸っぱさや刺激もなく、さらに蜂蜜の健康そうなイメージも付いて一石二鳥。
手間はかかるがまろやかな酸味になる 静置発酵法で作った黒酢を使用。
こうして1996年、入社2年目の社員が生み出した、そのまま飲めるお酢のドリンク「はちみつ黒酢ダイエット」が誕生したのです。
■予想に反し売れ行き不振!雑誌に掲載も…驚きの掲載理由が!
しかし、爆発的に売れる!という予想はいきなり覆されます。「はちみつ黒酢ダイエット」は地元大阪の一部エリアでしか売れないという、「終売しないギリギリのライン」を辿ってしまいます。
そんなある日、雑誌に「はちみつ黒酢ダイエット」が取り上げられているのを偶然発見。しかし、内容は決して喜ばしいものではなく…「まずいものランキング」で1位に選ばれてしまったのです。これを受け、社内からも冷ややかな声が漏れはじめます。
■不人気の理由は「消費者の認識不足」!?大規模プロモーションの結果、注文が殺到!
「終売」がよぎる中、店頭販売中の社員があることに気付きます。それは、当時、ほとんどの消費者が今では通説となっている「お酢が健康に良い」ことを認知していなかったという事実。そこで、お酢の健康効果を広めるべく、大規模な宣伝を展開することを決断したのです。
年間5億円という巨額の宣伝費を投じた結果、仕入れの問い合わせが殺到!お酢のタンクが空になるほど生産が追いつかなかったと現社長は話します。
逆転を果たした「はちみつ黒酢ダイエット」は発売10年目についに累計6億本を突破するほどの大ヒット。今やビネガードリンク市場をリードする商品となっています。
お客様からいただいたちょっとしたメッセージやクレームも大切にし、商品を新しく生み出すヒントとして取り入れたことが功を奏したのです。
■番組情報
〇番組名
日経スペシャル もしものマネー道もしマネ
〇内容
『もしもの時』に備えるマネー道!マネー活用バラエティ!
〇放送日時
テレビ大阪 第1~3日曜日 午後2時放送!放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中。
(まいどなニュース/クラブTVO編集部)