【冬のボーナス】支給する企業は8割 「増額」は微減 「なし」は微増
物価の上昇スピードに賃上げが十分に追いつかない状況は、家計の節約志向が高まる背景となっています。株式会社帝国データバンク(東京都港区)が、このほど発表した「2024年冬季賞与の動向調査」によると、「冬季賞与が増加する(した)」企業は約2割で、前年から微減となりました。その一方で、「賞与がない」企業は約1割で、こちらは前年から微増していることがわかりました。
調査は、2023年11月に実施され、有効回答企業数は1万939社でした。
「2024年の冬季賞与(ボーナス、一時金、寸志など含む)」が支給される(された)企業は全体の80.2%。従業員1人当たり平均支給額をみると、「賞与はあり、増加する(した)」企業は全体の23.0%で、23年の24.1%から1.1ポイントの微減となりました。
一方で、「賞与はない」企業は12.8%、特に「繊維・繊維製品・服飾品小売」では47.7%と突出して高く、ほぼ半数の企業が賞与を支給しない状況となっています。
「冬季賞与が増加する企業」の割合を業界別にみると、「金融」(17.0%)、「建設」「製造」(いずれも24.9%)の3業界において冬季賞与が2年連続で増加。
特に、2024年問題に直面し、人材確保が課題となっている「運輸・倉庫」(30.9%)では、23年の22.5%から8.4ポイント上昇し、唯一3割を超える結果となりました。
なお、冬季賞与が2年連続で増加する企業は全体の12.0%で、23年から1.7ポイント上昇しています。
賞与を増やす企業からは、「設備投資は比較的旺盛で、設備改修工事なども多い」(一般管工事)、「IT技術者不足が続く」(ソフト受託開発)、「インバウンド需要が長期にわたり高い」(旅館)、「引き続きドライバー不足には拍車がかかり、人材の争奪戦が激化する」(一般貨物自動車運送)といった要因を指摘する意見が聞かれました。
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調査を実施した同社は、「2025年以降は飲食料品など生活必需品の値上げが続くと予想されるなか、企業が家計の購買力に直接影響するボーナスを支給する原資を増やすための経営改善を進めることで、消費活性化の一助となることが期待される」と述べています。