【おむすび】物語の舞台=2009年は社員食堂のあり方が変わるタイミング 効率とボリューム重視か、栄養バランスか…「どちらにも道理がある」
今週放送中の連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合)第12週「働くって何なん?」では、星河電気の社員食堂に栄養士として採用された結(橋本環奈)の社会人生活がスタートした。本日(12月19日)放送された59回では、チーフ調理師の立川(三宅弘城)からランチの日替わりメニューを任された結。鶏挽肉で作ったスコッチエッグに温野菜を添えたヘルシーなメニューを作って女性社員を中心に大評判となる。
しかしスコッチエッグと温野菜は調理に時間がかかるので、回転率が下がってしまう。立川は急遽温野菜を揚げ野菜に変更し、効率を上げてサポートするが、それでもランチを食べられない人が出てしまった。立川は結に「それだけ売り上げがマイナスということや」「働くっちゅうことは金を稼ぐちゅうことや」と諭す。
効率とボリューム重視の立川と、栄養士として栄養バランスのとれたメニューを作りたい結。「どちらにも道理がある」ということが描かれている。この作劇に込めた2009年の社員食堂事情を、制作統括の宇佐川隆史さんに聞いた。宇佐川さんは「社員食堂は、この15年で大きく変わっているんです」と明かし、こう続ける。
■2009年は社員食堂が変わる潮目だった
「第12週の時代設定である2009年には、体重計などを製造している精密機器メーカーの社員食堂が大きな話題となり、それを契機に各企業の社員食堂の見直しが始まっていきました。星河電気の社食ではその『夜明け前』を描いています。当時は『バランスよく栄養を摂ることで筋肉が増強される』といった、スポーツ選手の体づくりのための知識もまだあまり共有されていませんでした。『体を大きくするためには、とにかく食べろ』という思い込みがまだまだ残っていた時代で、それを立川が翔也(佐野勇斗)たち野球部員に大盛りをサービスするエピソードに活かしました」
■「他の人には任せられない」というのも立川なりの正義
「当時の社員食堂の多くは調理師さんの主導で、調理場のトップの方がしっかりしていればいるほど、責務をひとりで抱えてしまいがちだったそうです。そうした当時の状況を、立川というキャラクターに託しました。ドラマ的に立川と結が衝突するように見せてはいますが、どちらも間違っていないと思います。『最後までやらせてほしい。他の人には任せられない』というのも、立川なりの正義なんですよね」
明日放送の第60回では、週タイトル「仕事って何なん?」という問いへの『おむすび』らしい答えが用意されているという。
※見出しが2019年となっていたのを2009年に修正しました(10:45)
(まいどなニュース特約・佐野 華英)