野良犬の子を保護…甘噛みひどく、警戒心が解けず 「本来ならもっとのびのび楽しく過ごせただろうに」4年経った今は
野良犬の子どもとして生まれた女の子「サン」ちゃん。X(旧Twitter)ユーザー・保護犬サンちゃん(@Sw3WR37Nte4MbbO)さんと運命的な出会いを果たしたのは、今から4年前のことでした。
「2020年9月26日、サンが生後推定3カ月のとき、2週間のトライアル期間を経て保護団体より正式に譲渡されました。お迎えするなら保護犬と決めていましたが、なかなかご縁に恵まれず……。念願かなってお迎えしたのです」
サンちゃんは、きょうだいの中で最後に残った1匹だったそうです。
「サンには、5匹のきょうだいがいました。一目見た瞬間、『かわいい!!』と家族全員が心を奪われました。一目惚れだったと思います」
■新しい生活と家族の変化
家に来た初日、サンちゃんは長旅の疲れと新しい環境への不安から緊張している様子だったといいます。
「リビングに入るなり、すぐソファの下に隠れてしまい出てきませんでした。その夜は、ソファの下がサンの寝床に……。翌朝もまだ隠れていましたが、夜中にトイレを済ませていることがわかり、少し安心しました」
サンちゃんは、少しずつ環境に慣れていきました。それとともに、悩ましいことも出てきたそうです。
「甘噛みがひどく、私たちの手はいつも傷だらけ。とても元気が良くいつも走り回っていたので、サンをゆっくりと抱っこした記憶はほとんどありません」
一方、サンちゃんが加わることで家族には大きな変化がありました。
「家の中が明るくなりました!子どもたちも学校からすぐに帰って来るように。サンと遊んだりお世話したりと、サンと子どもたちは一緒に成長しているように感じられました」
サンちゃんとお子さんたちは、スムーズに関係を築いていきましたが、飼い主さんの夫との関係にはまだ課題が残っているそうです。
「サンは、成人男性が苦手。夫にはまったく慣れてくれませんでした。今でも、夫が触れることができたのは数回しかありません(笑)」
■サンちゃんの性格と飼い主さんの思い
サンちゃんは、4歳になりました。とても怖がりで、散歩も苦手です。
「サイレンや車の音を耳にすると、散歩中でもすぐに引き返してしまいます。唯一、夜の公園は大好き。思いきり走り回ることもあります。野山で走り回るのが性に合っているのかもしれません」
また、おうちでもなかなかくつろぐことができない様子なのだとか。
「警戒心が強く、足音や物音がするとすぐに起きてしまいます。よくワンちゃんが“へそ天”になってごろ寝する姿を目にしますが、そういったポーズもめったにしません。いつか“へそ天”になってぐっすり寝ることができるように、これからもサポートを続けたいと思っています」
飼い主さんは、こうしたサンちゃんの暮らしぶりを通して、次のように思いを馳せています。
「野良犬の子として生まれ、保護されるまで過酷な状況にいたのではないかと思うのです。『本来なら、もっとのびのびと楽しく、ワン友と遊んだり、いろいろなところへ出かけたりすることもできたろうに……』と思い悩むこともあります」
それでも、サンちゃんへの愛情は日に日に深まっています。
「サンに、今の気持ちを聞くことはできません。でも、『サンちゃん幸せ?』とよく声をかけています。一緒に暮らして4年の月日が経ちましたが、サンへの愛は増すばかり。長生きしてもらえるように、大事に大事に、愛して愛して、ともに生きていきたいと思います」
過去の経験から警戒心を抱えつつも、サンちゃんは家族の深い愛情に支えられて少しずつ変化を見せています。これからも安心した日々を過ごし、家族とともに新しい幸せを築いていくことでしょう。
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)