人気の「車中泊」、クルマ選びで欠かせないポイントは? 広い車内、フルフラット可能、AC電源の有無…ボディタイプ別におすすめの車種15選

近年、注目されている車中泊。ここでは「フルフラットになる」などの車中泊に欠かせないポイントとともにおすすめの車種をボディタイプ別に紹介します。

■車中泊用のクルマを選ぶポイント

車中泊用のクルマ選びでは、以下の4点を基準に判断すると良いでしょう。

▽ポイント(1)高さを含めた車内の広さ

車中泊では多くの物を積むため、積載性が必須です。服をかけたり、着替えたりすることを考え、高さも気にしてください。横になって寝られるかもチェックしましょう。

▽ポイント(2)フルフラットになるか

寝る際は、普通車なら荷室から後部座席、軽自動車なら運転席や助手席まで倒して利用するのが一般的。荷室と座席の段差ができない(=フルフラットになる)車種だと寝やすいです。

段差があっても純正アクセサリーや社外品のマットを使えば寝られますが、フルフラットであるほど荷物も少なく済みます。

▽ポイント(3)AC電源の有無

AC電源(アクセサリーコンセント)があれば、電気ケトルやスポットクーラーなど、多くの家電を使えます。特に、AC100V/1500Wに対応していると便利です。

ただしクルマにAC電源がない場合も、ポータブル電源などを使う方法があります。

▽ポイント(4)オプションの豊富さ

車中泊を意識して開発されている車種では、カーテンやタープ、フルフラットにするためのクッションなど、多くのアクセサリー(オプション)が用意されています。

また、こうした車種は社外品も充実していることが多く、自分好みにカスタムしやすいです。

■車中泊におすすめの軽自動車4選

軽自動車は広さが限られるため、商用車(N-VANやスペーシアベース)も候補に入れると良いでしょう。また、アウトドアを楽しむ上ではハスラーやタフトのような軽SUVもおすすめです。

▽ホンダ「N-VAN」

・新車価格:136.5万円~

・中古車相場:-

・全体寸法:全長3395mm×全幅1475mm×全高1945mm

・最高燃費(WLTC):19.8km/L(MT車)

・フルフラットでの長さ:約2330mm(助手席側のみ)

・AC充電の装備:△(オプションで外部給電ユニット装備可)

N-VANはホンダの商用車で全高が非常に高く、広さも十分。また、安全パッケージ「ホンダセンシング」を全車標準装備し、AT車なら高速道路などで使える優れた運転支援機能も装備しています。

運転席は収納できませんが、助手席を折りたたみ、助手席から荷室までフルフラットにできます。フルフラット状態での長さは2330mm。大人一人ならゆっくり寝ることができます。

▽スズキ「スペーシアベース」

・新車価格:147.2万円~

・中古車相場:100.5万円~194.5万円

・全体寸法:全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm

・最高燃費(WLTC):21.2km/L

・フルフラットでの長さ:約2030mm

・AC充電の装備:△(オプションで外部給電ユニット装備可)

スペーシアベースは、商用車の積載性・広さと乗用車のデザイン性・快適性を“良いとこ取り”したモデルです。

標準装備のマルチボードを机として使ったり、後部座席とつなげてフルフラットにできたりします。運転席・助手席ともに倒せますが、背もたれ部分が少し膨らんでいるので、マットで調整した方が良いでしょう。純正アクセサリーも豊富です。

▽スズキ「ハスラー」

・新車価格:151.8万円~

・中古車相場:21.9万円~217.2万円

・全体寸法:全長3395mm×全幅1475mm×全高1680mm

・最高燃費(WLTC):25.0km/L

・フルフラットでの長さ:約2100mm

・AC充電の装備:△(オプション、100W用)

ハスラーは軽SUVとして適度なオフロード性能を有し、燃費性能も優れています。街乗りと車中泊の双方で快適に使える点が大きな魅力です。

運転席・助手席を倒せば、ほぼフルフラットにできます。前部座席の座面は若干高さが下がる程度です。純正アクセサリーも豊富ですが、AC電源は100W用で用途が限られる点に注意しましょう。

▽ダイハツ「タフト」

・新車価格:132万円~

・中古車相場:70万円~200.4万円

・全体寸法:全長3395mm×全幅1475mm×全高1630mm

・最高燃費(WLTC):19.8km/L

・フルフラットでの長さ:約2000mm(段差が大きめ)

・AC充電の装備:×

タフトは運転席・助手席を倒しても、ハスラーほど平らな環境にできません。また、燃費もハスラーより悪いです。

ただしタフトはハスラーより車両価格が安く、さらに全車でスカイフィールトップ(ガラスルーフ)を装備。空の景色を楽しみたい人におすすめです。

【N-BOXやタントでもOK!】

スーパーハイトワゴン(N-BOXやタント、スペーシア、デリカミニなど)も、1人~2人の車中泊なら使えることが多いです。ただしフルフラットにならないクルマが多いので、マットはあったほうが良いでしょう。

■車中泊におすすめのSUV5選

SUVで完全なフルフラットを実現できる車種は多くありません。本記事で紹介する車種でも荷室にかけて床面が下がりがちなので、マットがあると便利でしょう。しかしオフロード性能に優れ、山や海でも走りやすいです。

▽トヨタ「カローラクロス」

・新車価格:218.4万円~

・中古車相場:189.8万円~445.9万円

・全体寸法:全長4490mm×全幅1825mm×全高1620mm

・最高燃費(WLTC):26.4km/L

・フルフラットでの長さ:約1885mm

・AC充電の装備:△(オプション)

カローラクロスは、後部座席をたたむと約1885mmものフラットスペースを確保できます。ただし荷室にかけて床面が下がりがちなので、純正アクセサリーの「ラゲージアクティブボックス」の導入がおすすめです。荷室面までフルフラットにできます。

また、メーカーオプションでパノラマルーフも搭載できます。

▽トヨタ「RAV4」

・新車価格:293.8万円~

・中古車相場:47.3万円~529.8万円

・全体寸法:全長4600mm×全幅1855mm×全高1685mm

・最高燃費(WLTC):21.4km/L

・フルフラットでの長さ:約1880mm

・AC充電の装備:△(PHEVモデルを除きオプション)

RAV4はミッドサイズSUVで全幅にもゆとりがあり、後部座席を倒すと大人2人が寛げるスペースを確保できます。ただし荷室にかけて床面が下がりがちなので、平らになるようマットを使用するのがおすすめです。

パワートレインはガソリン車・ハイブリッド車・PHEVと3種類あり、PHEVではAC電源を標準装備。また、メーカーオプションでパノラマムーンルーフも装備できます。

▽日産「エクストレイル」

・新車価格:360.1万円~

・中古車相場:9.8万円~558万円

・全体寸法:全長4660mm×全幅1840mm×全高1720mm

・最高燃費(WLTC):19.7km/L

・フルフラットでの長さ:約1820mm

・AC充電の装備:△(一部グレードで標準装備)

エクストレイルも荷室にかけて床面が下がるものの、後部座席を倒せば殆どフルフラットになります。現行モデルは全車e-POWER搭載で燃費が良く、走りも滑らかなのが魅力です。一部グレードではAC電源も標準装備しています。

なお、エクストレイルは先代以前のモデルも車中泊に適しています。安くてオフロード性能に優れた一台を求めるなら、中古もおすすめです。

▽ホンダ「ヴェゼル」

・新車価格:264.9万円~

・中古車相場:65.8万円~419.8万円

・全体寸法:全長4330mm×全幅1790mm×全高1580mm

・最高燃費(WLTC):26.0km/L

・フルフラットでの長さ:約1530mm

・AC充電の装備:×

ヴェゼルはコンパクトSUVで、後部座席を倒しても1530mm程度しかありません。しかし、身長が高い人でも斜めに寝転がれば寝られます。日常使いも重視しながら、一人で気軽に車中泊をしたい人におすすめです。

2人で車中泊をしたい場合も、2列目の足元部分に踏み台などを置けば、約1800mm程度までフルフラット空間を拡張できます。

▽三菱「アウトランダーPHEV」

・新車価格:499.5万円~

・中古車相場:53.7万円~602.7万円

・全体寸法:全長4710mm×全幅1860mm×全高1745mm

・一充電航続距離(WLTC):83~87km

・フルフラットでの長さ:約2040mm

・AC充電の装備:〇(全車標準装備)

アウトランダーPHEVは、他のSUV以上に広くフラットな空間を確保できます。走行性能も優れており、おすすめの一台です。AC電源も全車標準装備で、約85kmもの距離を電力のみで走行できます。

車両価格の高さが気になる場合は、初代アウトランダーも含めて中古車を検討してみましょう。

■車中泊におすすめのミニバン6選

ミニバンは車内空間の広い車種が多く、親子3人などでも車中泊できるものが多いです。思い切りカスタマイズしたいならハイエースやキャラバンといったワンボックスカーを、街乗りとの併用を考えるなら一般的なミニバンを選ぶと良いでしょう。

▽トヨタ「ハイエース バン」

・新車価格:244万円~

・中古車相場:29万円~1120万円

・全体寸法:全長4695mm×全幅1695mm×全高1980mm

・最高燃費(WLTC):13.8km/L(ディーゼル)

・フルフラットでの長さ:約1850mm~

・AC充電の装備:〇(但し100W用)

趣味用のクルマとしても使われることが多いハイエース。2列目を倒せば、3000mm近いフルフラット空間を確保できます。自分流にカスタマイズする人も多く、社外品も含めて専用のカスタマイズ用品が豊富です。

車中泊初心者に向かないように見えますが、ベッドキット付きの中古車や、事前にカスタマイズされた「コンプリートカー」もあるので、こうした選択肢を視野に入れても良いでしょう。

▽日産「キャラバン バン」

・新車価格:258.1万円~

・中古車相場:-

・全体寸法:全長4695mm×全幅1695mm×全高1990mm

・最高燃費(WLTC):13.9km/L(ディーゼル)

・フルフラットでの長さ:約1760mm~

・AC充電の装備:×(1モデルのみ装備)

キャラバンでは、日産車のカスタム車開発を手掛けるオーテックが「マルチベッド」モデルを販売しています。これは、椅子にもベッドにもなるキットが特別装備されたモデルです。マルチベッド自体に高さがあり、その下に荷物も置けます。

さらに、通常の部屋のような空間を生み出せる「マイルーム」モデルもあります。マイルームモデルには、AC電源も標準装備されています。

※上記画像はマルチベッドモデル、マイルームモデルではありません。

▽日産「セレナ」

・新車価格:276.9万円~

・中古車相場:5万円~488.8万円

・全体寸法:全長4690mm×全幅1695mm×全高1870mm

・最高燃費(WLTC):20.6km/L

・フルフラットでの長さ:約2000mm

・AC充電の装備:△(オプション)

2022年秋のフルモデルチェンジで、セレナはシートを倒した際のフラットさを追究。多少の段差はあるものの、2~3列目を倒せば、広く寝心地の良いフルフラット空間が生まれます。

また、セレナにもオーテックが手掛けるマルチベッドモデルが存在します。

▽ホンダ「ステップワゴン」

・新車価格:299.9万円~

・中古車相場:5万円~506.7万円

・全体寸法:全長4800mm×全幅1750mm×全高1840mm

・最高燃費(WLTC):20.0km/L

・フルフラットでの長さ:約2000mm

・AC充電の装備:△(オプション)

ステップワゴンは、他のMクラスミニバンにはない3列目の床下収納機能を備えています。3列目を床下に納め、2列目を最前列まで押し出せば、床面に約1700mmのフラット空間を確保できます。

床にマットを敷いて寝るのに抵抗があれば、2~3列目を倒しても寝られます。

▽ホンダ「フリード」(5人乗り)

・新車価格:281.3万円~(5人乗りの場合)

・中古車相場:5万円~369.9万円

・全体寸法:全長4310mm×全幅1720mm×全高1755mm

・最高燃費(WLTC):25.5km/L

・フルフラットでの長さ:約1800mm

・AC充電の装備:×

フリードは、都市部でも扱いやすいコンパクトミニバンです。3列シートの6~7人乗りと2列シートの5人乗りを選択でき、5人乗りが車中泊に向いています。2列目シートを倒して「おやすみモード」にすれば、約1800mmのほぼフラットな空間が生まれます。

新車が予算オーバーなら、中古で先代の「フリード+」(5人乗りモデル)を選ぶのがおすすめです。

▽三菱「デリカD:5」

・新車価格:415.7万円~

・中古車相場:17.4万円~560.1万円

・全体寸法:全長4800mm×全幅1795mm×全高1875mm

・最高燃費(WLTC):12.6km/L

・フルフラットでの長さ:約2000mm

・AC充電の装備:〇(1グレードを除き標準装備)

デリカD:5は、オフロード性能を備えた唯一無二のSUV風ミニバンです。街乗りにも使いつつ、アウトドアを思い切り楽しみたい人におすすめです。

2~3列目を倒せば、多少段差はありますが寝心地の良い空間が出来上がります。廉価グレードを除いてAC電源を備えているのも嬉しいポイントです。

■車中泊に関するQ&A

▽Q.車中泊であると良いものは?

車中泊をするときは、以下のようなものを揃えていると快適です。

・マットレス(シートの段差を軽減)

・寝袋(掛け布団の用意が不要)

・シェードやカーテン(プライバシー保護)

・LEDランタン(電源を使わず照明確保)

・ポータブル電源(エンジンを切っても使える)

・その他簡易空調グッズ(扇風機など)

温度調節は、車中泊で特に重要です。寝具を整えるとともに、スポットエアコンやヒーターなど、季節ごとに必要なものを使えるようにしておきましょう。

▽Q.車中泊はどこでしたら良い?

車中泊で最もおすすめなのは「RVパーク」です。有料の車中泊施設で、24時間使えるトイレや入浴施設などを近くに備えています。

また、SAやPAも車中泊に使われることが多いです。一方、RVパークなどに認定されていない道の駅などは原則車中泊が禁止されているので、注意しましょう。

▽Q.車中泊でやっていけないことは?

一般に、車中泊では以下のような行為が禁止されています。

・禁止場所での車中泊

・アイドリング駐車

・ゴミの不法投棄

・トイレなどでの食器洗いや洗濯

・外部電源の使用

マナー以外の面では防犯に十分注意してください。必ずカギをかけ、寝るときはカーテンも閉じて過ごしましょう。

▽Q.クルマの購入予算が足りない!どうする?

車中泊に使うクルマは大きい車両が大きく、車両価格も高くなりがち。少しでも安く買いたい場合は、中古車もチェックしましょう。ハイエースやキャラバンなどでは、ベッドキット付きの車両が販売されていることもあります。

(まいどなニュース/norico)

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