食欲のない保護猫は腎不全だった 入院中もごろごろ甘えてご挨拶 頑張り続けるあなたに幸が訪れますように
今から数年前、福岡県のとあるエリアで外猫たちのTNRが実施されました。そこではすべての外猫の不妊手術を実施した後、元いた場所にリターンする予定でしたが、そのうちの1匹に後ろ足の動きがおかしい白黒の猫がいました。
丸っこい体と凝視するような瞳がかわいいオスのロンくんという猫です。TNRを実施した福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキュー・はぴねすでは、「後ろ足が悪いまま地域にリターンさせても、幸せにはなれないかも」と考え、ロンくんだけはリターンせず、保護に切り替え、優しい里親さんとのマッチングを目指すことにしました。
■人間との生活に少しずつ慣れたものの、何故かエサを食べなくなった
保護当初は警戒気味だったロンくんでしたが、だんだんと人間との生活に慣れていきました。そして、「家猫トレーニング」をするのと合わせて、里親募集もスタート。ロンくんの柔軟な性格とイケメンぶりなら、「ずっとのお家」探しもそう時間はかからないだろうと当初は思われていました。
しかし、程なくしてロンくんはエサを食べたがらなくなりました。食べようとしてもヨダレを垂らし、何かが痛いのか悲鳴をあげるばかりの日々が続きました。
■ロンくんは腎不全を起こしていた
動物病院での診断は当初「歯茎に何らかの炎症が起きているのかもしれない」といったもので、投薬治療を行なった後に、最終手段として全身麻酔による全抜歯も実施。多少はエサを口にできるようになったロンくんでしたが、それでも度々エサを食べる際にやはり痛がって悲鳴をあげることがありました。
そして、何とかエサを口にすることがあっても、ロンくんは痩せていく一方です。改めて動物病院に連れていくと、なんとロンくんは腎不全を起こしていることが判明。即入院し酸素室で過ごすことになりました。
■入院中でもメンバーの姿を見ればゴロゴロ
静脈点滴を受けるようになり、少し痛みが和らいできたのかロンくんは表情が柔らかくなりました。そして、酸素室の中にいてもはぴねすメンバーの姿を前にして大喜び。立ち上がってこちらに歩いてきてくれ、ゴロゴロと喉を鳴らしてご挨拶。やはり自分の命を救い愛情を注いでくれたメンバーに、ずっと変わらぬ信頼を寄せているように映りました。
■頑張り続けるロンくんに「お家」が見つかりますように
しばらくしてロンくんは退院することになりました。腎不全の完治は難しく悪化しないように献身的な世話をし続ける必要がありますが、それでも体調が安定したことでの退院でした。
がんばるロンくんを前に「退院できて良かったね」「よく頑張ったね」と優しく声をかけるメンバーでしたが、その一方、相変わらずエサを嫌がることがあり、またベッドで寝ている間にしかトイレをしなくなりました。
メンバーは「重篤な持病があって、トイレもうまくできないとなると、現実的に考えれば『迎え入れたい』『ずっとお世話をしたい』という里親希望者さんは、そう現れないだろう」と思いました。
しかし、それでも諦めずにロンくんの里親募集をかけ続けることにしました。外猫として生まれ、生まれつきの障がいや持病もある中で、日々頑張り続けるロンくんにはやはり「本当の家族」「ずっとの家族」がいることがベストです。ここまでがんばって生き抜くロンくんの前に「うちにおいで」の声がかかることを祈るばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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