マイホームを購入し、新生活を始めるための引っ越しは、期待と不安が入り混じる大きなイベントです。しかし、実際に引っ越してみると「こうしておけばよかった…」と後悔することもあるようです。

■とりあえず…ここに置いておいてください

関西在住のAさん（30代・主婦）は、2LDKの賃貸マンションから5LDKの分譲戸建てへ引っ越しました。3歳と5歳の子どもを育てながらの引っ越しだったため、負担を減らそうと、梱包から荷解きまで代行してくれるフルサービスの引っ越し「楽ちんプラン」を選択。平日の料金が安いタイミングを狙い、計画通りに引っ越しを進めました。

Aさんは、マイホーム購入が決まってから、小まめに不要な物を処分し、持ち物を最小限に抑えていたそう。そのおかげで梱包作業もスムーズ。引っ越し当日までほとんど何も準備らしい準備をしていないのに、あっという間に荷物がまとめられ、当初は「やっぱり高くても楽なプランでお願いしてよかった！」と大満足だったそうです。

しかし、新居に荷物を運び入れた後、思わぬ問題が発生。3つも部屋数が増え、キッチンやバスルーム、玄関などの収納スペースが広がったことで、どこに何を収納すればよいのか決めきれなくなりました。「この段ボール、どうしますか？」と矢継ぎ早の業者さんの質問に、Aさんは「とりあえず…ここに置いておいてください」としどろもどろ。結果的に多くの荷物が段ボール箱に入ったまま、適当に置かれることになりました。

「むしろ収納に余裕がない方が、事前にしっかり計画していたかもしれません。余裕があるから“当日適当に決めればいいや”と思ったのが間違いでした。今も段ボール5つ分が、使ってない部屋に積まれたままです」

せっかくのフルサービスも活用しきれず、Aさんにとっては“宝の持ち腐れ”になってしまったようです。

■「先にやっておくべきこと」をもっと早く知りたかった

関東在住のBさん（30代・会社員）は、築15年の中古マンションを購入。前の住人が丁寧に暮らしていたため、床や壁に傷もほとんどなく、当時は最上級の設備を導入したのであろう水回りも特にリフォームの必要を感じなかったそうです。

新築と違って、すべての部屋の寸法を確認してから引っ越しができたため、収納アイテムや家具の配置をしっかり計画。完璧に準備ができたと思っていたBさんですが、引っ越し当日になって「事前にやっておくべきだった！」と後悔していることが3つあるそうです。

・家具の脚に倒壊・傷防止のパッドを貼る

・フローリングワックスをかける

・お風呂の防カビや害虫駆除用の燻煙剤をやっておく

「すべて引っ越し後に気が付きました。ベッドやテレビボードをあとから持ち上げるのは大変で、フローリングワックスも一部塗れていないところがあります。燻煙剤も食器への付着が気になって、効果が弱いものしか使えませんでした。“たった少しの手間”を引っ越し前にやっておけば、もっとスムーズだったのに…と悔しいですね」

■引越トラックの駐車スペースまで考えてなかった

注文住宅を建て、一戸建ての住宅地に引っ越したCさん（40代・主婦）。いわゆる「向こう三軒両隣」の近隣住民にも、事前にきちんとご挨拶をして、万全の準備で引っ越し日を迎えました。

しかし、家の前は住民しか行き来しない狭い道路。引っ越しトラックを停めると道がふさがり、車両がすれ違いのも難しい状態になりました。

そのため、配送のトラックやご近所の車が通るたび、引っ越し業者さんが手を止めてトラックを移動しなければならない状況に。そのたびに時間もかかるし、ご近所に迷惑をかける結果となりました。

「せめて自分たちの車は近所のコインパーキングに停めておけばよかった、そうしたらもっと内側にトラックを停められた。引っ越しが終わってから気づきましたが、おそらく3時間は短縮できたと思います」

引っ越し業者の作業効率まで事前に計算しておくのは難しいもの。しかし駐車スペースの確保は事前に考えておいたほうがよさそうです。

■新居の鍵が見つからない！

関西在住のDさん（30代・事務員）夫婦が購入したのは、総戸数数百戸の大型マンション。引き渡しが3月だったため、引っ越し代を節約しようと、実際の引っ越しを少し遅らせることにしました。

繁忙期を避けたことで、費用は抑えられたものの、予想外のトラブルが発生。引っ越しまで時間をあけたこともあって、なんと「新居の鍵をどこにしまったか忘れてしまった」のです。

確かにマンションの引き渡し会で受け取った記憶はあるのに…なぜかどこにしまい込んだかさっぱり思い出せない！！　夫婦で必死に探し回った結果、引っ越し用にまとめた「思い出BOX」の中から、引っ越し前日にようやく発見できたそうです。

「こうした予想外のミスがあるんですね…。本当に焦りました」とDさん。

しっかり準備をしていても、なかなか100％完璧！とはいかないのが引っ越しというものなのかもしれませんね。

（まいどなニュース特約・中瀬 えみ）