リストラ拒否したら総務に異動→専門知識ゼロなのに放置され…これは報復か、圧力か? 社労士が語る「リストラハラスメント」の実態

Aさんは中小企業で営業事務として、10年間地道に実績を重ねてきました。大きなミスもなく、頼りになる存在として周囲からも信頼されています。Aさん自身も、日々の業務を着実にこなし会社に貢献してきた自負がありました。

しかしある日、Aさんは上司から「会社の経営状況が悪化し人員削減の一環としてAさんがリストラの対象になっている」という話を聞かされます。長年会社に尽くしてきたAさんにとって、それはあまりにも理不尽な宣告でした。納得できないAさんは、上司からのリストラ勧告を毅然と拒否します。

数日後、Aさんの元に人事異動の通知が届きました。これまで慣れ親しんだ営業事務から、全く経験のない総務部への配置転換です。「リストラを断ったからこの仕打ちなの?」と、Aさんは疑念を抱きました。

総務部でAさんを待っていたのは、まともな引き継ぎもなしで専門知識が必要な業務を次々と任される日々でした。パソコンの操作から書類の作成まで、分からないことだらけで毎日が苦労の連続です。それでもAさんは、「ここで退職したら会社の思うつぼだ」と、必死に踏ん張ります。

それと同時にAさんはこの人事異動が、リストラを拒否したことへの報復として、わざと困難な業務を押し付け自主退職を促そうとする「リストラハラスメント」ではないかとも考えるようになりました。

Aさんはこの状況を乗り越えることができるのでしょうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに聞いてみました。

ーリストラハラスメントは実際におこなわれているのでしょうか

リストラハラスメントは、企業がリストラ対象の従業員に嫌がらせや圧力をかけ、自主退職を促す行為を指します。

そしてAさんの事例は、合理的な理由のない報復的な異動とみなされる可能性があります。これは労働条件の不当な変更とみなされ、ハラスメントの範疇を超えていると判断されるでしょう。

リストラハラスメントと表現することで、本来の違法性が軽く扱われる可能性があることを個人的には懸念しています。

自分の意に反する部下を、上司が報復的に異動させるケースは過去にもありましたが、今では客観的に合理的だと認めらえる理由が無ければ通用しないです。異動させられた従業員から慰謝料や損害賠償を請求される可能性も否定できません。

ーAさんのように自分がリストラハラスメントの対象になっていると感じたらどうすべきでしょうか

会社や上司からリストラハラスメントを受けていると感じたら、まずはどのような被害を受けたかを記録しておきましょう。可能であれば録音をして、難しければ日時と共にメモでもいいので記録を残します。

従業員側はどうしても立場が弱くなってしまうため、これらの記録が重要です。仮に裁判で争うことになった場合に、有効な証拠となり得るからです。

記録を残した上で社内の相談窓口もしくは、労働局や労働基準監督署に相談しましょう。組合や法律の専門家に相談するのもご検討ください。個別労働紛争の解決を支援する社労士会労働紛争解決センターもあります。ひとりでなんとかしようとせず、早めに相談するようにしましょう。

大前提として、客観的に合理的でない異動は違法となります。企業側もその点を考慮して必要性を十分に検討してから人事異動を行うべきだと考えます。

◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士 大阪府茨木市を拠点に「良い職場環境作りの専門家」として活動。ラーメン愛好家としても知られ、「#ラーメン社労士」での投稿が人気。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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