41歳、高齢ブタオザル…今どこ?何してる? 来園者みんなで「キキおばあちゃん」を観察 飼育員「関心持ってケアに協力を」
「いまいる場所は?」「何をしている?」
高齢になったブタオザルの行動を来園者にも観察・報告してもらい、より快適な飼育環境づくりにつなげようという取り組みが、天王寺動物園(大阪市)で行われ、多くの人が参加しています。題して「キキおばあちゃんをみんなで見守ろうプロジェクト」。展示場前には大きなQRコードが目立つポスターが掲げられ、スマホ片手にその姿を探したり、報告画面にチェックを入れたりする人の姿が見られます。プロジェクトの狙い、期待することを動物園に取材しました。
「キキ」は1983年6月生まれの41歳。10種21頭が飼育されている「サル・ヒヒ舎」で暮らしています。「見守ろうプロジェクト」は2024年11月にスタート。QRコードからアクセスして、キキが今いる場所と行動を選択肢から選ぶもので、約3カ月後に進捗状況を公表した飼育員ブログでは、500件近い報告があったことが紹介されました。
飼育担当の小森康之さんに詳しく聞きました。
-プロジェクトのきっかけは?
「高齢動物のケアとして観察データは必須ですが、職員だけでは限界があります。来園者のみなさんの協力を得ながらデータを集めることで、キキさんに還元できることも増えます。また、率直に、キキさんに関心を持ってもらい、見守っていただきたいと思いました」
ーQRコードが大きいです!
「屋外設置なので大きくしたのと、目を引くデザインとなるよう検討しました。QRコードがあることで、まず足を止めてくれる方が増えています。また、年齢が近いなどの理由で親近感を抱くなど、自分自身に引き寄せてキキさんを観察する様子が見られます」
-来園者参加型はこれまでも?
「行動データを得る取り組みは当園では初めてです」
ー一度だけでなく通るたびに報告して良いですか?
「はい、何度でも報告していただきたいです」
ー約3カ月で500件近い報告です
「思っていた以上に集まったと感じています。来園者の方の滞在時間は増えたといっても間違いないと思います。プロジェクトに参加することでキキさんに関心を抱いてくれている様子が窺えます。何度も報告しているというコメントや、飼育員への応援には勇気づけられます」
飼育員ブログや展示場の掲示では、高齢ゆえのさまざまな変化に言及。今は目は見えておらず、手探りで慎重に動くようになっているそうですが、耳は聞こえていて、野菜をバリバリ食べる様子から歯は健康的とのこと。リンゴやミカンなどの果物類、キュウリ、蒸したサツマイモやニンジンが好物で、ペレット(サル用固形飼料)、葉物野菜、大豆、ニボシ、ミルワームも。高齢になり水分補給としてぬるめのポカリスウェットも飲んでいます。
年に1回の健康診断を受け、落ち着いた性格というキキおばあちゃん。2012年にオスが亡くなって以降は単独飼育。1987年と1989年に1頭ずつ出産した記録があります。「『サル・ヒヒ舎』の長老であり、私たち飼育員もいろいろなことを教えてもらう存在です」と小森さん。
見守ろうプロジェクトは現在も継続中で、「たとえばサル類が並んでいると、1種ずつ、1頭ずつをしっかり観察することは少ないかもしれません。でも、それぞれに性格もあれば人生(サル生?)もさまざまです。そういったことを把握すると、1頭ずつに関心を持つことにつながるはずです。その動物の背景や内面を観てもらえると、もっともっと動物園を楽しめると思います」と期待を込めました。
(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)
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