基礎年金の給付水準、3割底上げ 厚労省、36年度以降改善

 厚生労働省は、全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする方針だ。基礎年金だけに入る自営業者らが老後に受け取る年金の水準低下を防ぐ。基礎年金の財政状況が厳しい一方、会社員らが入る厚生年金は堅調なため、厚生年金の積立金(剰余金)を基礎年金の給付に振り向ける。2036年度以降の給付水準は現在の見通しより3割程度改善する。関係者が19日明らかにした。

 厚労省は、厚生年金受給者の大半も給付が手厚くなるとしているが、保険料を折半して負担している会社員や企業の反発も予想される。社会保障審議会の部会で議論を進め、25年の通常国会に制度改革関連法案の提出を目指す。

 基礎年金の財源の半分は国庫(税)で賄っており、給付水準を改善する場合、年間に兆円単位の財源が追加で必要となる。法案には安定財源の確保を政府に義務付ける規定を盛り込むが、具体策は検討課題とする。

 両年金の財源は別々に管理され、それぞれ財政が安定化するまで「マクロ経済スライド」という仕組みで給付水準を抑制している。

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