HIV欧米支援削減で1千万人増 WHO試算発表
【ワシントン共同】中低所得国でのエイズウイルス(HIV)感染予防や検査に充てられる欧米主要国の支援が削減されると、2030年までに新規感染者が最大1075万人、関連死が最大293万人増えるとの試算を、世界保健機関(WHO)などのチームが26日、医学誌ランセットHIVに発表した。
チームによると、中低所得国は対策費の約4割を米国や英国を中心とした海外からの支援に依存するが、最大支援国である米国のトランプ大統領が大幅削減を公表。各国も削減を計画しており、26年までに支援額は24%減となる見通しだ。チームは削減がHIV流行の再燃を地球規模で引き起こしかねないと指摘している。
チームは、削減が南米やアフリカの中低所得国のHIV対策に与える影響を数種類のシナリオで試算。現状の支援が継続する場合に比べ、新規感染者は443万~1075万人、関連死は77万~293万人増加するとの結果となった。
主要国の支援を受けて対策を進める多くの国では10~23年、新規感染者と関連死の数は毎年1割程度減少した。