大川原訴訟控訴審、5月判決 社長ら、捜査の違法性主張

 生物兵器製造に転用可能な装置を無許可輸出したとする外為法違反罪の起訴が取り消された大川原化工機(横浜市)の大川原正明社長(75)らが、東京都と国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審口頭弁論が25日、東京高裁であり結審した。太田晃詳裁判長は判決期日を来年5月28日に指定した。

 弁論で社長側は「逮捕した警視庁公安部の法令解釈は合理性を欠き、求めた訂正を行わないまま供述調書を作成するなど違法行為があった」と主張。都側は「不当な捜査が行われた事実はない」と反論した。

 問題となった装置は霧状の液体を熱風で瞬時に粉末化する「噴霧乾燥装置」。輸出規制対象の「滅菌または殺菌できるもの」に当たるかどうかが判然としていなかった。

 10月には元警視庁公安部捜査員3人への証人尋問が行われ、うち1人は「(立件は)日本の安全を考えたものではなく、決定権を持つ人の欲だと思う」と述べていた。

 昨年12月の一審東京地裁判決は、社長ら3人の逮捕は根拠を欠き、東京地検の起訴も違法だとして、都と国に約1億6千万円の賠償を命じた。

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