芸人の道から亡き父と同じ警官に 広島で勤務、かつて「嫌」と反発
2023年に亡くなった父親は広島県警の警察官だった。いつも忙しく幼少期に遊んでもらった記憶はない。「同じ職は嫌だ」と反発し、芸人の道を志した中村浩司さん(34)。現在は、培ったトークスキルを生かしながら、広島県警安佐北署の巡査部長として勤務している。
9月の祝日、広島市内の商業施設でのイベントに、兄弟お笑いコンビ「土佐兄弟」が登壇した。
2人を招いたのは中村さんだ。芸人の養成所の同期だった。
厳しかった父を見て「警察官にはなりたくない」と思っていた。人を笑わせるのが好きで、芸人の道を志した。
13年に上京し、養成所に入所。土佐兄弟と仲良くなった。
養成期間終了後は厳しい生活だった。芸人の肩書を持てない中、100時間以上アルバイトした週もあった。体調を崩し、東京に来た理由が分からなくなった。
家で寝込んで家賃が払えなくなりアパートを退去。土佐兄弟の兄宅に居候させてもらうなどした。上京から2年、24歳で広島へ帰ろうと決心。自分も人の助けになる仕事がしたいと思った時、頭に浮かんだのは警察官の父だった。