横領無罪、国の責任認めず 検察取り調べ違法性巡り、大阪
大阪地検特捜部が捜査した業務上横領事件で逮捕、起訴され、その後無罪が確定した大手不動産会社「プレサンスコーポレーション」の山岸忍元社長(62)が違法な取り調べがあったとして国に約7億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(小田真治裁判長)は21日、国への賠償請求を棄却した。
検察の取り調べを巡っては全国で相次いで問題が発覚し、最高検は4月から録音・録画の対象を拡大することを決めた。判決は、こうした流れに影響を与えそうだ。
プレサンス事件では、特捜検事として捜査を担当した田渕大輔氏(52)が山岸氏の元部下を「検察なめんなよ」「ふざけんな」などと罵倒。弁護側が請求した録音・録画データ計約17時間46分の証拠提出が認められ、一部が法廷で再生された。
山岸氏は学校法人の土地売却資金21億円の横領を共謀したとして、2019年に特捜部に逮捕、起訴された。刑事裁判で大阪地裁は、山岸氏の共謀があったとする元部下らの供述の信用性を否定。21年に山岸氏に無罪を言い渡し、確定した。