被害者給付金不支給は違法、福岡 殺害の親族と関係「事実上破綻」
犯罪被害者給付金を加害者が親族だったことを理由に支給しなかった福岡県公安委員会の決定は不当だとして、同居の男性をその父親に殺害された50代の女性が決定取り消しを求めた訴訟の判決で、福岡地裁は26日、親族関係が「事実上破綻していると同視できる」と判断し、請求を認めた。
犯罪被害者等給付金支給法は、親族の場合、給付金の全部か一部を支給しないと規定。婚姻を継続し難い事由があった場合や、親族関係が破綻していた場合は除外される。
林史高裁判長は判決理由で、父親と住宅や金銭のトラブルを抱えていた上、女性が父親の車にはねられ感情的な対立が深刻化したとし「親子としての交際や精神的なつながりを維持することが困難な状況に陥った」と指摘した。
判決によると、男性=当時(57)=は2019年、父親に刺殺され女性も刃物で刺された。女性は給付金を申請したが、20年に不支給とされた。審査請求も棄却され、22年に提訴した。
女性は記者会見で「昨日が命日でずっと泣いていたが、この結果を報告できる」と声を震わせた。